第2部
スー
名もなき村
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しかして、おれがいなくなるから寂しいのか?」
「それもあるけど、ここにルカを置いていくのが不安なんだよ!! 本当にグレッグさんと二人でやっていけると思ってるの!?」
興奮する私とは対照的に、ルカはいたって冷静だ。まるで、駄々をこねる幼児を宥めるように、ルカは落ち着いた声で言った。
「確かに師匠と別れてすぐだったら、出来なかったと思う。けど、この大陸で旅をして、ジョナスたちと出会って、テンタクルスと遭遇して、あんな目に遭っても、何とかなるって思えるようになったんだ。それを教えてくれたのは、アネキなんだぜ?」
「私……?」
「ユウリさんがテンタクルスに捕まったとき、アネキが助けただろ? おれ、絶対アネキには出来ないと思ってた。でも、頼りなかったアネキがあんな頑張ってる姿を見て、おれも頑張れるって思えるようになったんだ」
ああ、あのときは無我夢中で、ユウリを助けなきゃ、ってことしか頭になかったんだ。
それが、ルカの目にどう映っていたかなんて、考えもしなかったけれど……。
「……もう諦めろ」
ぼそりと、低い声でユウリが言った。
「ルカにそこまでの覚悟があるのはわかった。だから、俺はもう止めない。お前がここで成長したいのなら、好きにすればいい」
「ユウリ!?」
「ただし、一度引き受けた以上、最後までやり遂げろ。途中で逃げ出すな」
「ユウリさん……! はい!! ありがとうございます!!」
「待ってユウリ! なんでそんな……」
「弟想いなのはいいが、過保護すぎるのもこいつのためにならないぞ」
「!!」
ユウリにぴしゃりと言われ、私は思わず口をつぐむ。
「荷物があるなら今すぐ持ってこい。俺たちも時間がないからな」
「はっ、はい!!」
そう急かされ、ルカは慌てて船へと戻る。
「そう言うわけだから、よろしく頼む」
走っていくルカを見送ったあと、ユウリはグレッグさんに頭を下げる。
「こっちこそ、すまない。わし、とても嬉しい。ルカは大事な仲間、お前たちに心配かけないよう、絶対に守る。こうみえてわし、村で一番強い戦士だった」
「そうか。なら安心して任せられる」
ジョナスと同じスー族の戦士なら、そう簡単に魔物にやられることはない。ユウリもそう判断したから、グレッグさんにルカを任せたのだろう。
でも、私は未だに納得しきれていない。本当にここに残して大丈夫なのだろうか。モヤモヤした気持ちを隠しながらも、これ以上反論できない雰囲気に飲まれた私は何も言うことができなかった。
「それじゃあ、お二人ともお元気で」
「ああ。お前も体に気を付けろ」
船に一度戻り、荷物をまとめて再び戻ってきたルカの顔は、どこか晴れやかだった。
そんなルカの手を握り挨拶を交わしたユウリもまた、先程までの剣呑な雰囲気とはうって変わっ
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