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俺様勇者と武闘家日記
第2部
スー
名もなき村
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か? こんな誰も来ないような辺境の地で、このじいさんと二人で町を作るなんて無謀にも程があるだろ!」
「もちろんわかってます。けど、それよりもおれは、グレッグさんの期待に応えたいんです」
「期待だと?」
 ルカの意図がわからず、ユウリは顔をしかめながら聞き返す。
「今までお二人と旅をしてきて、いろんな経験を積ませていただきました。もちろん辛いこともあったけど、それ以上に自分が成長できた実感を持てたことが嬉しかったんです。そんなおれがもっと成長できる機会が訪れたんです。これを逃したら、おれはきっと後悔すると思います」
「待ってルカ、機会なんてこの先もっとあるよ!何も今ここに残ることを決めなくても……」
「アネキ。今までありがとう。喧嘩ばっかりしてたけど、アネキと一緒にいられて、すごく楽しかった」
 そう言ってルカは、申し訳なさそうに笑った。普段の生意気な口振りからは想像も出来ないほど、今のルカは大人びて見える。
「ユウリさん。色々教えてくださってありがとうございました。これからは、アネキのことをよろしくお願いします」
 まるで別れの挨拶のような台詞に、納得しない顔でルカを見下ろすユウリ。
「ルカ。お前、ドリスとの約束はどうするんだ?お前をしばらく預かるっていう約束を破るわけには行かないだろ」
「大丈夫ですよ。師匠はおれが戻ってくるよりも、一人前の商人になることを望んでいるはずですから。それに、一度決めたことを曲げたら、それこそ師匠に叱られます」
「……」
 はっきりと言い放ったルカの言葉に、これ以上ユウリは何も言わなかった。
 それでも私は、なおもルカを引き留めようと食い下がる。
「で、でも、そもそもルカに町を作る手伝いなんて出来ると思ってるの? それに、どれだけ時間がかかるか……」
「アネキ。町を作るにはまず何が必要だと思う?」
「えっ!? ……えーと、人が住めるようにしなきゃならないから……家とか?」
「家を作るには作る人がいないとダメだろ? でも、その『人』を増やすにも、家を作るのも、まず『お金』が必要だ。そして、お金に関しては、『商人』であるおれが誰よりも詳しい。町を作るのにこれ以上の人材はないだろ?」
「う……」
 ルカの正論に、私は何も言い返せなかった。なんとか思いとどめてもらわなければと、頭をフル回転して言い訳を考えるが、こういうときに限ってなかなか思い付かない。
 その間にもルカは、きょとんとしているグレッグさんに尋ねている。
「グレッグさん。ここには今どのくらいのお金がありますか?」
「スー族、『お金』知らない。みんな、何か欲しいとき、自分で採った食べ物とかと交換している」
「……町を作る以前の問題ですね」
 呆れたようにルカは溜め息をついた。その隙を見計らってユウリと私が責め立てる。
「お
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