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ソードアート・オンライン〜黒の剣士と紅き死神〜
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8。死亡日は2022年12月4日。死因は頭部へのクリティカルダメージだった」

「……ど、どうしてそんなに詳しく?」

「俺は攻略組として最前線で戦う上で守れなかった全ての命を背負うと誓った。まあ、戦って死んだ奴限定だけど」


セインはそっか、と答えると何とも言えない顔をして黙り込む。

そして、ボツリポツリと話始めた。


「僕がこのゲームを始めた理由は弟がSAOプレイヤーで、死んだからなんだ。名前は《ガゼル》。体が弱くて家に居てばかりだった。僕はそんな弟を気にかけることもなく、自分のことだけしか考えてなかった……居なくなって初めて気がついたよ。僕はあいつを避けてただけなんだって。あいつを構ってると自分の時間が無くなる……そんなのごめんだって……そう思ってた」


俺は黙ってその話を聞いている。かつて、アスナやキリト、リズ、オラトリオのやつらの心内を聞いた時のように。


「プレイヤーネームを知ったとき、はっとしたよ。《ガゼル》っていうのは昔僕が買ってあげた絵本に出てくる動物で、雪の中を跳ね回るんだ。僕は何度も弟にその本を読んであげた。いつか、元気になったら雪合戦しようとか、そう言いながら。……体が弱くても、VRワールドなら元気に跳ね回れる……そう考えたんだ、きっと。あいつは、ずっと僕と遊びたかったから……」


「だからSAOを始めて、それで死んだのは自分のせい……って考えてるのか?」


彼は唇をぎゅっと噛む。


「だとしたら、それは違う。《ガゼル》はセイン、お前と弟が作り出したものだ。それは弟が消えたら無くなるのか?お前の心にまだ《ガゼル》は生きてる。お前が生き続ける限り、それは残る。形あるものが全てじゃない。俺はそれを大切な人達に教わった」


過酷なデスゲームの中で誰もが自分の信念を貫いて必死に生きていた。信念の善悪はこの際問わないことにして、信念だけはあの世界において、絶対の正義だった。


「じゃ、僕はどうしたらいいんだ。弟に何も出来なかった、僕は!!」

「さっきも言ったぞ。生き続ければ心の中に残る。だから生き続けろ。それがセインの役目だ」


自分で言っていて説教臭い……。こういうのは苦手だ。はあ……。


「ともかくだ。何時までも引きずってんじゃガゼルが浮かばれない。プレイヤーなら、ゲームを楽しめよ。片方だけでもさ」


顔をあげたセインには陰が消えていた。強い意志を持った真のMMOプレイヤーの顔だ。


「協力させてくれ、レイ。このゲームの裏に本当にSAOプレイヤーが囚われているなら、僕は犯人を許さない。最後まで一緒に行く」

「ああ、頼むぜ。相棒」







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