第6章 英雄感謝祭編
第21話 謁見
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それぞれ初日のクロッカスでの生活を終えて、翌朝。
今日最初の予定は、王城での謁見であり、それに伴っての適切な服装へと着替えているところであった。何やら、アレン含め、10名近くが死んだ魚のような目をして着替えに勤しんでいたというが、その理由を知るものは少ない。男性はタキシード、女性はアフタヌーンドレスを身にまとい、王城へと向かう。
王城へと入ると、衛兵の誘導の元、玉座の間に通された。皆緊張の趣を持ちながら、ゆっくりと指定された場所へと移動する。さすがに、死んだ魚の目をしていた10数名も、ここではキリっとした佇まいを見せている。
そして、国王の声と共に、アレンが玉座の前へと移動し、膝を着いて頭を垂れる。国王の指示の元、顔をあげると、玉座に国王と王女が腰を掛け、それを挟むように両端に桜花聖騎士団アルカディオスと防衛大臣のダートンが控えていた。
「この度は、ご足労頂きありがとうございます。アレン様」
「大変恐縮にございます、ヒスイ姫殿下」
ヒスイの言葉に、アレンは真剣な様子で答える。
「此度のアクノロギアの撃退、及び王国の防衛、大義であった」
「もったいなきお言葉でございます、トーマ国王陛下」
続けて、トーマの言葉に対しても、アレンは淡々と言葉を並べた。
「此度の働きに際し、英雄感謝祭と称し、この首都クロッカスを中心に、国を挙げてアレン様の勇士をお祝いしたく存じます」
「はっ!ありがたき幸せにございます」
ヒスイは少しだけ愉し気な感情を言葉に漏らす。
「詳しいスケジュールに関して、後ほど担当よりお伝えしよう。…アルカディオス、例のモノを」
国王が隣に控えるアルカディオスに命ずると、一つの魔水晶を持ち、アレンの前に立つ。
「我がフィオーレ王国には、国を守った英雄の力、魔力を魔水晶として保管する伝統があります」
「魔力…でございますか?」
アレンは、思わずヒスイに尋ねた。この度の謁見に際して、フィオーレ王国の歴史や文化に関しては一通り触ったはずであったが、そのような伝統は耳にしていたかったからであった。また、同時にここ最近は感じたことのないモンスターの気配を一瞬察知する。だが、この玉座の間及び王城内において、その存在を再度察知することはできず、一旦は警戒を解く。
「差し支えなければ、そちらに魔力を注いでいただいてもよろしいでしょうか?」
「…承知いたしました」
アレンは立ち上がり、アルカディオスのもつ魔水晶に魔力を込める。暫くしてそれを終えると、魔水晶から手を放し、もう一度片膝をつき、待機する。
アルカディオスは、アレンの魔力を込めた魔水晶を、ヒスイへと見せる。ヒスイが一度確認すると、アルカディオスは魔水晶を持った形で、元の位置へと戻った。
「では、以上で謁見を終わらせて頂く。ぜひ、感謝祭を楽しんでくれたまえ」
「望外の喜び
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