第5章 修行編
第19話 習得
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れるであろう。だが、これが続くと考えると…。いや、ダメだ。思い出せ、アレンと一緒に戦えなかった時の感情を。アレンを失った思ったときに感じた絶望を。必ず、我がものにしてやる。そうして、私は痛みとの長い戦いを始めた。今度は一緒に戦えるだけの力を身に着けるために。
ウルティアside
修行29日目。この修行もようやく佳境を迎えようとしていた。正直、先週の修行は身体的にも精神的にも辛いものがあった。だが、アレンの思いと自分の思い、それをバネに何とか修行をやり通し、第二魔法源を解放することに成功した。そして、5週目の開始日である今日。今日から1週間は魔法力の向上という、より実践的な修行となる。
「さて、確か、ウルティアの魔法は氷の造形魔法と時のアークだよな?」
「ええ、そうよ」
私は胸を張り、自信満々に答えた。私は母のウルから氷の造形魔法を、今となっては黒歴史ではあるがハデスの元で時のアークを習得していた。氷の造形魔法は弟弟子のような存在であるリオンやグレイにも引けを取らない上に、物質の時間を操れる時のアークもある。正直、エルザやミラなどにも負けない戦闘力を有している自信がある。加えて、今日までの修行における基本的な身体能力と魔力の上昇。自分でも強くなっているのがわかる。
「今日から1週間、ウルティアには2つのことをしてもらう。1つは第二魔法源から魔力を自在に取り出せるようにすること。もう一つは、第一魔法源と第二魔法源の魔力を均一に混ぜ合わせたうえで、魔法を発動することだ」
「前者はわかるんだけど、後者のそれは、魔法力が上がるものなの?」
「ああ。どちらも自分の魔力ということに変わりはないのだが、第一魔法源は表面能力…まあ、魔道士であれば無意識に扱えるもので、第二魔法源は潜在能力と称されることが多いんだ。だから、魔力の性質が少し異なるんだ」
「うーん、いまいちピンとこないわね…」
私は聞きなれない言葉と説明に頭を悩ませる。これまでも難しい説明は多々あったので別に初めてではないのだが…。
「極端に言うと、第一魔法源と第二魔法源をうまく合わせて魔法を発動すると、消費魔力は同じでも、『1+1=2』、ではなくて『1+1=3』になるよってイメージだな』
「えっ!それってすごいことじゃない!!」
私はアレンのわかりやすい説明に、思わず驚きを隠せなかった。
「ああ、だが、その前に第二魔法源の魔力を自分の意思で扱えるようにならないとな」
「ええ、わかってるわ」
アレンはその都度適切にアドバイスをくれた。自身の中に第二魔法源の、性質の異なるもう一つの魔力を感じ取り、それを練り上げるように混ぜ合わせる。
「…口で言うのは簡単だけど、これは…」
余りの難しさに、私は悪態をつく。
「ああ、お世辞にも簡単とは言えない。だが、繰り返し行うことが大切だ!」
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