第二章
[8]前話
「帰るのね」
「そうしてるわ、それで帰ったら」
そうすればというのだ。
「凄くね」
「嬉しいのね」
「そうよ、東京にずっといたいけれど」
「実家に帰ることは嫌じゃないのね」
「それはそれでね、東京にいたくても」
それでもというのだ。
「実家はいいものよ」
「そういうことね」
「ええ、だからこれからも」
葉月はさらに言った、今度は自分から。
「実家に帰られたらね」
「その時は帰るのね」
「そうしていくわ」
「成程ね」
「ええ、やっぱり実家はいいものよ」
またこう言うのだった。
「何かあったらね」
「帰るのね」
「就職してもね」
笑顔で言ってだった。
葉月は友人達とその十勝のことを話した、それは明るいものであり。
そしてだ、友人達に言い切った。
「皆も一度北海道に行ってみたらいいわ」
「十勝にも」
「そうしたらいいのね」
「凄くいいところだから。大自然に囲まれていてね」
そうしてというのだ。
「行って悪いことはないから」
「東京もいいけれど」
「十勝もまたいい」
「そういうことね」
「そうよ、その時は私の実家にも来てね」
笑顔のままの言葉だった、葉月は東京にいて十勝のことを明るく話した。そこには東京に向けるのとは別の想いがあった。暖かく優しいそれが。
田舎から出て来て 完
2022・7・20
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