暁 〜小説投稿サイト〜
IS 転生白書 オリ主が奏でる新しいインフィニット・ストラトス
リンリン言うなっ!
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 「ふうん、ここがそうなんだ・・・・・・」

 夜。IS学園の正面ゲート前に、小柄な体に不釣合いなボストンバッグを持った少女が立っていた。
 まだ暖かな四月の夜風になびく髪は、左右それぞれ高い位置で結んである。
 肩にかかるかからないくらいの髪は、金色の留め金が良く似合う艶やかな黒色をしていた。

 「えーと、受付ってどこにあるんだっけ」

 上着のポケットから一切れの紙を取り出す。
 くしゃくしゃになったそれは、少女の大雑把さと活発さを非常に良く表していた。
 
 「本校舎一階総合事務受付・・・・・・って、だからそれどこにあんのよ」

 文句を言っても紙は返事をしない。少女は多少のイライラと一緒に紙を上着のポケットねじ込む。
 また中でぐしゃっという音が聞こえたが、もちろん気にしない。

 「自分で探せばいいでしょ、探せばさぁ」

 ぶつくさ言いながらも、その足はとにかく動いている。思考よりも行動。そういう少女なのだ。よく言えば“実践主義”、悪く言えば“よく考えない”である。

 ──ったく、出迎えが無いとは聞いていたけど、ちょっと不親切すぎるんじゃない?政府の連中にしたって、異国に十五歳を放り込むとか、なんか思うところないわけ?

 少女はジャパニーズに似ているが良く見ると違う。その鋭角的でありながらもどこか艶やかさを感じさせる瞳は、チャイニーズのそれだった。
 とはいえ、この少女にとっては日本は第二の故郷であり、思い出の地であり、因縁の場所でもある。“人に歴史有り”とはよく言ったものである。

 (誰か居ないかな。生徒とか、先生とか、案内できそうな人)

 学園内の敷地を分からなりに歩きながら、きょろきょろと人影を探す。とは言え時刻は八時過ぎ、どの校舎も明かりが落ちているし、当然生徒は学生寮にいる時間だった。

 (あーもー、面倒くさいなー。空飛んで探そうかな・・・)

 一瞬、「それは名案!」と思った少女だが、あの“あなたの街の電話帳”三冊分に匹敵する学園内重要規約書を思い出して、やめる。
 まだ転入の手続きが終わっていないのに学園内でISを起動させたら、事である。最悪、外交問題にも発展する。それだけは本当に止めてくれ、と何回も懇願していた政府高官の情けない顔を思い出して、少女の気分はちょっと晴れた。

 (ふっふーん、まあねー、私は重要人物だもんねー。自重しないとねー)

 正直に言って、自分の倍以上も年のある大人がへこへこ頭を下げるのは、ちょっと気分がいい。
 昔から“年をとっているだけで偉そうにしている大人”が嫌いな少女にとって、今の世の中は非常に居心地が良かった。
 男の腕力は児戯、女のISこそ正義。それもまた気分がいい。少女はかつて、“男って言うだけで偉そうにしてい
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ