第二章
[8]前話
ある日家に結婚を前提として交際している島田鱒二長身で優しい顔をしている清潔な感じの彼を家に連れて来て両親に紹介するとだった。
トミーは最初鱒二を警戒していた、だが彼が何度か家に来ていると。
「僕に懐いてくれたね」
「どんな人かわかったみたいね」
志穂は玄関に入ったところで自分達を迎えてくれて座っているトミーを見つつ鱒二に笑顔で応えた。
「貴方が」
「それで最初は警戒していても」
「今はね」
「こうしてだね」
「迎えてくれているのよ」
「そうなんだね、何かこの子を見ていると」
鱒二は自分達を見ているトミーを見つつ志穂に話した。
「自然と癒されるね」
「そうでしょ、猫と一緒にいたら」
「それだけでだね」
「癒されるの」
「そうなんだね、じゃあこれからも」
「トミーと一緒にいていい?」
「いいよ、じゃあ結婚したら」
鱒二は志穂に笑顔で言った。
「この子ともね」
「一緒に住む?」
「そうしよう」
こう言ったのだった、だが。
トミーは志穂の両親がとても大事にしているので引き取れなかった、その代わりに二人は別の猫を飼って二人の間に生まれた息子と共に慈しんだ、その猫は白い雌猫でリンと言ったが。
「ニャア」
「この娘もいいな」
「そうよね」
「子猫の時に保護猫として引き取ったけれど」
「良と一緒に私達の家族よ」
赤子である自分達の子供の傍に座って自分達に向けて鳴いてきた彼女を見て笑顔になった。そして志穂の実家に帰ると。
いつも出迎えてくれるトミーに笑顔になった、その中で猫がどれだけ有り難い存在なのかを実感するのだった。
ずっと傍にいてくれる黒猫 完
2022・7・20
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