第3章 帰還編
第13話 評議院
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り、同席させることとなった。2人からすれば、ラハールが器物破損などの罪に問うつもりはないとは言っていたものの、もし戦いによる余波の被害を、アレンの責任とされるのを黙っているわけにはいかないという思いが、同席を強く希望するに至ったのだ。
「まずは、半強制的にこの評議院へ足を運ばせてしまったこと、心よりお詫び申し上げる。そして、アクノロギアの討伐、心より感謝申し上げる」
議長であるクロフォードはじめ、すべての評議院が頭を下げて謝罪と感謝の意を述べた。
「…頭をあげてください、皆さん」
アレンは小さく呟き、上級魔導士たちへ声を掛ける。上級魔導士たちが、ゆっくりと頭をあげる。
「俺はただフェアリーテイルの仲間を守りたくて戦っただけです。そして、4年前にエーテリオンを投下したことも含め、俺は別に何とも思っていません」
その言葉に、上級魔導士たちだけでなく、エルザやミラも驚きの表情を見せる。
「ちょ、ちょっと、アレン、この人たちはあなたを…」
「ミラ…」
アレンはミラの言葉に割り込み、名前を呼んで軽く睨む。その目にミラは驚き、委縮する。
「評議院はアクノロギアを倒すため、エーテリオンを投下した。今回の投下計画も、アクノロギアを仕留めるために打ちこもうとした。俺を殺すためじゃない」
「しかし、結果としてアレンの命に危険が及んだことは…」
エルザがアレンの主張に異議を唱えるが、今度はクロフォードによって遮られる。
「確かに、アレンさんの言う通りだ。そして、エルザさんの言う通りでもある」
上級魔導士たちは、もう一度、頭を下げる。
「本当に、すまなかった」
そんな上級魔導士の様子に、アレンは頭を掻きながらため息をつく。
「だから、もういいですって。それに…」
アレンが一度言葉を止め、真剣な表情で上級魔導士に言い放つ。
「俺がもし、あなた方と同じ立場だったら…あなた方と同じ決断をしていたことでしょう。アクノロギア討伐のため、そして、王国、大陸、世界のために」
その言葉に、その場にいるもの皆が目を見開き、固まってしまう。なんという男なのか。これほどの力を持ちながら全く驕らず、自らを危険にさらしたものへ激高することもなく、あまつさえその行為を半ば肯定するような発言をする。
暫く呆気に取られていたクロフォードであったが、ふっと笑いを漏らす。
「どうやら私は、アレンさん、あなたを誤解していたようだ…。あなたは、私が思っていた以上に、素晴らしいお方のようだ。力ではない、人としての格の違いを教えられた気がするよ」
クロフォードのその言葉に、他の上級魔導士も同意の意を示す。エルザやミラは、その言葉に、アレンの姿に、目を見開き、頬を赤くして見つめている。2人が、さらにアレンという男に惹かれたのは言うまでもない。
「それより、本題はそんなことではない
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