第1章 始動編
第1話 異世界
[4/8]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
し、太刀を振り下ろした。
そこからの戦いは、まるで災害のようであった。黒竜の一撃で島は割れ、ブレスによってあらゆるものが吹き飛ばされていく。
アレンは黒竜の直撃を避け太刀をふるう。人間とは思えないほど膂力をもって、大気を切り裂き、地面を切り刻むその姿は、まさに怪物であった。
互いに攻撃を喰らい喰らわせ、傷を重ねていく。竜の体には多くの切り傷があり、そこから赤い血が流れている。黒竜の力を知っているものが見たら、驚愕することは間違いないほどに。
アレンも「これほどの傷を負ったのはいつぶりかな…」、と心の中で呟き、限界に近い疲労が溜まっていた。戦いの最中に、太刀と同じ要領で回復薬等の道具を出せることはありがたかった。しかし、取り出すたびに魔力を消費することに気付き、最低限の回復のみにとどめていた。そのため、体の至る所が痛み、身にまとっていた強固なジンオウガ装備も見る影もないほどに損傷していた。
激闘は終わりを迎えようとしていた。
何度目になるか分からない衝突。竜はその巨体と翼をいかし、アレンを押しつぶさんとする。
それをアレンは目にも止まらぬ速さで避けて、刀を振り抜き、突き、切り上げる。そこで大きく黒竜は怯んだ。
アレンはそこを好機とみて、残り僅かな力を振り絞り、刀を大きく振るった。それは気刃大回転斬りとよばれる技である。アレンは確かな手応えとともに黒竜に太刀を浴びせた。これで終わり、そう思った。
だが、黒竜はそれでも倒れず、僅かな体力を用いてブレスを放った。
それを見抜いたアレンは避けようとした。しかし、身体は限界を迎えていた。
直前の気刃大回転斬りで力を使い切ったため、避けるだけの体力がなかった。
迫ってくるブレスを見てアレンは「クソッ!!」と悔し気に叫びながらブレスを受けた。この戦いにおいて初めてまともに攻撃を喰らう。アレンの強靭な肉体を持っても一撃でダウンさせる程の威力を持った攻撃であった。ブレスを受けたアレンはその頑丈さで、身体が吹き飛びはしなかったものの、遥か彼方まで吹き飛ばされていった。それを見届けた黒竜もまた、力を使い果たしその場に倒れこむのであった。
吹き飛ばされたアレンは、海へと投げ出され、漂流することとなった。
楽園の塔。
それは闇の魔導士ゼレフを生き返らせることを目的とした、海にたたずむ建造物である。
そこでは、誘拐されてきた者たちが奴隷のように、毎日厳しい労働を強いられている。
アレンは、この塔に血まみれで漂着した。その後、漂着したアレンを見つけた監視員が、アレンを連れて、一つの牢に入れた。
元々牢に入っていたロブ、ジェラール、エルザ、シモン、ミリアーナは、アレンのあまりの傷の深さに驚いていたが、できうる限りの治療を行った。
アレンが寝ている間、監視員が「脱獄を図ったものがいる」と言い、エ
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ