暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百四十五話 M作戦
[1/6]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
帝国暦484年11月5日

■オーディン 帝国印刷局

「うむ、中々の出来だが、未だ未だな」
印刷局の技師達が出来上がった紙幣を見ながらあれこれと話し合っている。
「紙質はほぼ完璧なのですが、発色の差が出ます」

「未だ未だ研究の余地有りか」
「しかし、フェザーンマルクに比べて、ディナールは作りやすいですね」
「聞くところに因ると、叛徒共は万年金欠でフェザーンからの借款で何とかしてるそうだから」

研究員にしてみれば、帝国も財政赤字に見舞われてはいるが、流石にそれを言う訳にもいかない。

しかし帝国の場合、門閥貴族の関係で放漫経営で赤字になっているような物で、原作ではラインハルトがリップシュタット戦役後に貴族の資産を没収した結果累積赤字が消し飛んだとされているため、同盟の様に完全に赤字な訳では無いのである。

「それにしても、集められた時には、フェザーンと叛徒の紙幣の偽造研究とは思っても見なかったな」
「まあ我々にしてみれば、研究だが、お偉方には作戦だからな」
「まあ、時間はタップリあるんだ、焦らずに完璧を目指そう」
「そうですな」


帝国暦485年12月1日

■オーディン ノイエ・サンスーシ 小部屋

何時ものように、この部屋に帝国の未来を考える為政者達が集まり、悪巧みをしていた。

そんな中、テレーゼが、今回のフェザーンと同盟の紙幣偽造について説明している。
「帝国の紙幣とフェザーンや叛徒の紙幣との差ってなんだか判りますか?」
「殿下の事ですから、紙幣の質とかで無い事は判りますが」

艦隊編成で忙しい中、ケスラーも参加している。
「ええ、紙質とかは関係無いのよね。我が国の通貨は紙幣も有るけど金貨も流通しているわ、そして紙幣には兌換能力(紙幣に金貨と交換出来る保証がされている)が有る」

「なるほど、フェザーンマルクも叛徒のディナールも不兌換紙幣(紙幣が金貨とは交換できない)です」
「テレーゼ、しかしその事が今回の事と何か関係があるのか?」
「はい、言っては悪いのですが、帝国マルクは政府に信用が無くても流通は可能です。それに金貨であれば地金の価値でもペイできるので、信用度が有るんですけど」

「なるほど、フェザーンマルクとディナールでは発行元の信用だけで流通している訳じゃな」
「そうです、其処へ大量の精巧な偽札が流通したらどうなるか」
テレーゼが、ニヤリとしながら語る。

「確実に流通した側の経済は混乱するはずです」
「それはそうじゃが、何処まで混乱するやら」
フリードリヒ四世も効果に疑問を持っているようだ。

「大昔、地球で世界大戦が有りました。その時ドイツがグレートブリテン連合王国(イギリス)の5ポンド紙幣を全流通量の10%も偽造し流通させた結果、戦争後に
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ