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少女は 見えない糸だけをたよりに
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 巧の引っ越しの日、すみれさんがお店を引き受けてくれて、私は、手伝いに行った。お母さんが、鍋とか食器類を使ってないからと、色々と揃えてくれて、自転車に括り付けて向かったのだ。

「巧 私 拭き掃除していくから、衣類とかそこの食器類片付けていって」

「うん 香波 手際いいなぁー」

「こんなの慣れているからね あー 先にスーツ下げておいてよ しわになるから」

「わかった なんか 彼女というより 嫁さんだね」

「ごめん 言い過ぎだよね そんなつもりじゃぁないんだけど 気になっちゃってー」

「いいんだよ 世話やいてくれているんだから・・助かるよ」

「うん 少しでも 巧の助けになればと思ってね あー その調理機 ご飯も炊けるし色んなものもつくれるんだって 私からの就職祝い」

「そうか でも 香波がいろいろと作るんだろー?」

「そう おいしいもの作るから 私を大切にしなきゃあだめよ」

「ふふっ 可愛がってやるよ」

「あっ その言い方 やーらしい」

「なに 考えているんだよ 香波こそ やーらしい」

「もうー バカ」と、私は、巧に抱き着いていった。新婚さんってこんな感じなのかなー・・って。

 片付けも落ち着いたところで、私は、巧に寄りかかって行って・・巧も私の思っていることがわかっているかのように、どちらからともなく・・抱き合っていた。

 余韻に浸っていて、夕方近くなって、私達は買い物に出掛けた。晩御飯を食べに出たのだけど、結局、帰って食べようよと、お米と焼肉用のコンロとお肉と野菜、それと巧のしばらくの食糧。

「ねぇ お近所さんのご挨拶はいいの?」

「うーん どうなんだろうなー 隣と下の人には、挨拶しとくか 持っていくものなにがいいかなー」

「どんな人かわからないものねー でも、おそらく、独身でしょーう 洗剤かなー うー レトルトカレーは?」

「だなー そーしょっか」

 私達は帰って、巧が挨拶に行っている間に、私は、ご飯を炊いてみて、焼肉の準備をしていた。巧が戻ってきて

「お帰り どんな人だった?」

「ウン 下の人は社会人で運送会社だって 若いよ おー ご飯炊けてきたのか 匂いする」

「だけー? お隣さんは?」

「うっ うん 女の人」

「それでー どんな人 なんか 詳しく言わないね」

「うー 学生かなー あんまり 話さなかった」

「あやしいー 巧 きれいな人?」

「そんなことないよー そんなこと気になるのかー 香波 君よりきれいな人は居ないよ」

「そう そう思う?  良かった 巧にそう言ってもらえてー」

「あのさー 香波って 心の中では嫉妬深いのかもな」

「そんなことないよー ただね 出来るだ
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