第二十八章 わたしの名は、ヴァイス
[2/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
槍を持ってカズミに並ぶ。
こうして、三人対一人の戦いが始まったのであるが、それでも黒衣装の少女は強かった。
人数差にも関わらず基本防戦一方なのはアサキたちの方。
たまに攻撃を仕掛けても、楽々とかわさてしまう。バラバラに攻めれば各個かわされて、同時に攻めても結局はのらりくらりとかわされて。
アサキたちは連係、チームワークというよりも、個人個人でなんとか庇い合って、最悪の状態を回避しているといえようか。
圧倒的に部の悪い状況であった。
この状況、長くは続かなかったが。
光が差したわけではない。
反対にもっと、絶望的なまでに部が悪くなったのである。
2
上からなにやら気配の片鱗を感じた瞬間、アサキは自ら倒れ横へ転がっていた。
一瞬前まで立っていたところに、なにかが突き刺さっていた。
それは、光。剣にも似た、真っ白な光のエネルギーであった。
ごろり転がった先のその顔へも、光の剣というべきエネルギーが音もなく突き出される。
アサキは転がりながらも器用に、手にしていた自分の洋剣で弾いた。
運もあっての紙一重、ではあったが。
弾いた勢いによる反発を利用して、その攻撃から距離を取りつつ立ち上がった。
カズミが、「くそ!」と怒鳴りながら背後へと跳ねて、アサキの横に着地すると、素早く視線を左右に走らせながら、二本のナイフを構え直した。
「状況が、理解出来んのじゃけど」
治奈も、アサキの反対側の隣に立ち、槍を構えながら目の前に立つ者たちを睨んだ。
黒い服を着た、三人の少女たち。
この三人が、アサキたちを突然襲撃した者の正体であった。
これで、謎の襲撃者である黒い服の少女は四人に増えたことになる。
一人を相手でも苦戦していたというのに、もしも加勢した三人の実力が最初の一人と同等だとしたら、苦戦絶望的どころではないだろう。
三つ子の姉妹であろうか。
というほどに、三人は同じ顔、同じ髪型をしている。
服装までが、まったく同じだ。
最初の一人目だけ顔立ちや体型が違うが、それでも似てはおり、多胎児ではないが姉妹ではあるということかも知れない。
最初の一人目の方が、とても幼く、そして顔の造形が整っている。
比べて後からの三人はどこか色々と削げ落ちている。可愛らしくはあるものの地味な、少し老けた印象を見る者に与える。まるで、最初の一人の劣化コピーのようでもあった。
さらに異なるところといえば、まずは服だ。
造形整った最初の一人目は、黒くふわふわしている生地を身体に纏っている。
対して三人は、どちらかといえばぴったりした、皮素材にも見える黒い服を着ている。
また、最初の一人は素手による攻撃であ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ