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銀河を漂うタンザナイト
第7次イゼルローン要塞攻防戦B
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イゼルローン要塞 要塞司令部 

第十三艦隊司令官ヤン・ウェンリー少将は制圧されたイゼルローン要塞に入ると直ちに各部署へ指示を下した。

「まずは要塞内の設備の掌握が最優先だ。幸い要塞内の帝国兵は全員眠っているから、艦隊の乗組員全員を動員すれば何とかなると思う。それと、第四艦隊に要塞の制圧が完了したことを連絡してくれ」
「了解いたしました」
「さて、あとは敵艦隊だけだな…」

ヤンはそう言うと部下たちの顔を見渡した。誰もが自らの職責を果たしていた。それを見たヤンは少しだけ指揮卓の上でモゾモゾと動くと、胡坐をかき直して猫背気味だった背をまっすぐに伸ばした。



一方帝国軍要塞駐留艦隊は『要塞内部で反乱発生、救援を請う』という虚報にまんまと騙され、第四艦隊との戦闘を切り上げイゼルローン要塞へと慌てて帰還している最中だった。

「ええい、なぜ反乱など起こったのだ!?」

ゼークトは苛立ちの声を上げた。シュトックハウゼンの無能者めが!!と罵りたいところだが、それを口に出したところで事態が良くなる訳で無い事はゼークトにも分かっている。

「後方の忌々しい敵艦隊の動きはどうだ?」
「はい、射程圏外から距離を保ったまま追従してくるようです」
「ふん、用心深い奴らだ」
「いかがいたしますか?このままでは後背から攻撃を受けてしまいます」
「かまわん、無視しろ。我々は一刻も早く要塞に戻らねばならんのだ。それに連中も要塞に近づけば逃げ帰る筈だ」
「はあ……」
「まったく忌々しい……。こんな事になるなら、最初から要塞におれば良かったわ…。まぁいい、宇宙モグラどもに貸しを作る機会だと考えれば悪くはない」

ゼークトはそう言って舌打ちをしながら、自らを納得させることにした。

「お待ちください、閣下」

陰気なほど静かな声が駐留艦隊旗艦ヴァナヘイムの艦橋内を圧した。
自分の前に出てきた士官を見て、ゼークトは露骨な嫌悪と反発の表情を浮かべた。参謀のオーベルシュタイン大佐だった。

「大佐、貴官に意見を聞いた覚えはないぞ」
「承知しております、しかし敢えて申し上げます。これは罠です」
「何だと!?」
「もう一度申し上げます、これは罠です。要塞に帰還するのはおやめになられた方がよろしいかと」
「何をバカな事を……」

ゼークトは顎を引いて、不愉快な口調で不愉快なことを言う不愉快な部下を睨みつけた。

「ふん、貴官の目にはありとあらゆるものが罠に見えるようだな」
「閣下、お聞きください」
「もういい、全艦最大船速でイゼルローンに帰投せよ!」

ゼークトは怒号を発して、オーベルシュタインにその広い背を向けた。そして通信士に要塞への帰還を命じるとともに、全軍に前進を命じた。

「怒気あって真の勇気無き小
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