吠え猛る山
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友奈の記憶をたどっても、あれほど巨大な怪物と対峙したことはない。
ゴーヤベックという名の怪物は、そのまま口を開き、吠えた。
「友奈ちゃん!」
龍騎は慌てて友奈に覆いかぶさる。龍騎の鎧に無数の岩石が降り注ぎ、その体を大きく揺らしていく。
「真司さん!?」
「大丈夫……!」
ようやく落石の雨が収まった。
龍騎は起き上がり、こちらを見下ろすゴーヤベックを見返した。
「何てデカさだ……!」
「踏み潰して!」
アカネの命令に、ゴーヤベックは動く。
山の上に山が乗っていると錯覚してしまう中、友奈はゴーヤベックの足元にいるアンチの姿に血相を変える。
「アンチ君!」
踏み潰される。
そう考えた友奈は、大急ぎでアンチの前に立ち、その槌のような足へスマホを向けた。
花びらのエフェクトとともに牛鬼が、その質量を防ぐ。だが、だんだんと圧されていき、友奈の足も地面を削る。
「うっ……!」
「友奈ちゃん! この……!」
『ストライクベント』
背後で、龍騎がカードを装填している。彼の右手に装備された、龍の頭部の形をした武器。ドラグクローの口元に、炎が集っていく。
ドラグクローの動きに合わせて、ドラグレッダーもまた動く。ドラグクローの炎とドラグレッダーの炎が同時に吐き出され、ゴーヤベックの足を燃やしていった。
苦手であろう炎に、ゴーヤベックは後ずさりし出した。燃える足を振り回し、暴れる。
「友奈ちゃん、大丈夫か?」
「うん。あ、危ない!」
友奈は叫んだ。
トレギアのマスターであるアカネは、今も変わらずトレギアのすぐ近くに佇んでいる。巨大な足が踏み鳴らす場所であり、今にも潰されてしまわないか心配になる。
友奈は彼女の救出に向かおうとするが、その前にゴーヤベックの柱と見紛う足が友奈を止める。
さらにゴーヤベックが、その牙で友奈と龍騎を食らいつくそうとする。
その直前、龍騎は友奈をお姫様抱っこで飛び退く。友奈は一瞬唖然としていたが、すぐさま我に返り、龍騎の腕から降りた。
そして。
改めてスマホを取り出した友奈へ、ゴーヤベックが吠えた。
「うっ!」
「な、なんて衝撃だ……!」
ゴーヤベックの咆哮は、山が吠えているのとほとんど同義。
重圧を持った空気が友奈たちの上から圧し掛かって来たのだ。
さらに、ゴーヤベックの体が動く。
生身の友奈と装甲の龍騎を木々ごと食らい尽くそうとするが、龍騎は急いで友奈を抱えて退避する。
「大丈夫か、友奈ちゃん……」
「うん……うっ!」
体の痛みがまだ抜けない。
友奈は龍騎より下ろされて、ゴーヤベックの体を見上げる。
ゴーヤベックは、何度も友奈たちへその牙
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