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水の国の王は転生者
第七十九話 地下神殿の死闘・前編
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「敵が後退を始めた」

「よ、よし、この隙に体勢を……ううっ」

「ちょ、分隊長!」

 遂にデヴィットは精神切れを起こし、その場に倒れてしまった。

「ジャックさん、どうしましょう?」

「分隊長を連れて、後退するべきだが……む、通信」

 ジャックはウォーター・ビットから出された通信文を読み始めた。

「どういう内容なんですか?」

 ジャックは倒れたデヴィットを抱え、少し下がった所に寝かせた。

「朗報だ、陛下御自ら援軍に参られるそうだ」

「へえ、陛下自らですか」

「それともう一つ、魔法衛士隊の投入で各迷宮でもスライムが後退を始めたそうだ」

「そりゃ良かった。ようやく一息つけそうですね」

 ヒューゴはからから笑い、空薬莢を拾って戦闘の後片付けを始めると……

「そりゃ良かった。もう一働き出来そうだな」

「え? だ、誰だ!?」

 ヒューゴ達が、声のした方を振り向くと、そこにはマクシミリアンとカトレア。そしてアニエス達が居た。

「へ、陛下!?」

「ご苦労様。諸君の決死の殿のお陰で、アンリエッタとルイズは窮地から脱する事が出来た」

「ははっ! ありがとうございます!」

 ヒューゴはマクシミリアンの前で直立不動になった。

「そこで諸君の分隊は、僕達と共にスライムを追撃してもらう。間もなく正式な辞令が届く」

 マクシミリアンが言うや、ウォーター・ビットから命令書が発想されてきた。偽造ではなく隊長のド・ラ・レイの署名が印刷されていた。

「確かに届きましたが、デヴィット分隊長は精神切れを起こし、動ける状態ではございません」

「デヴィットは連れて行かないよ。連れて行くのは君たち二人だ」

「ははっ、光栄であります!」

「……光栄でございますです」

 元気よく返事をしたのはジャックだけで、ヒューゴは生返事に近かった。

「そこの君は疲れているようだな、そんな疲れはこの秘薬を飲めばたちどころに吹っ飛ぶだろう」

 マクシミリアンは、ペカペカポーンと青狸のように滋養強壮の秘薬を取り出した。

「あ、ありがとうございます……」

 休む気満々だったヒューゴは泣く泣く秘薬を飲み干した。

「ん? おおっ、効いて来た……!」

 黄金色の液体が、ヒューゴの体内を駆け巡り、滋養強壮ついでに精力増強の効果も現れる。

 だが……

「ぶはっ!?」

 効き過ぎた秘薬の効果で、ヒューゴは噴水の様な鼻血を出しその場に倒れてしまった。

「ヒューゴさん!」

「おい、大丈夫か?」

 アニエスとジャックが駆け寄るが、既にヒューゴはノビていた。

「ん? 効き過ぎたかな……」

 結局、ヒューゴ
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