第7次イゼルローン要塞攻防戦@
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は困難をきわめるだろう。つまり帝国軍は、我々と戦うにはこの危険極まりない宙域に入り込まねばならないわけだ。それがどれほどのリスクを負うことになるかは想像できるだろう」
幕僚たちは互いに顔を見合わせたり小声で話し合ったりした。
「もちろん艦隊運動の難解さや索敵の難しさは、我々にもついて回るわけだ。しかし、それにしても、このダゴン星系内に帝国軍が侵入してきた場合、我々の方が優位な立場に立つことができる。帝国軍は我々の正確な位置を知らないし、我々の方はすでに散布したセンサーで帝国軍の動きを正確に把握することができるからだ」
クロパチェクはここでいったん言葉を切って幕僚たちの様子をうかがった。誰もが真剣な表情で考え込んでいる。
「それに我が艦隊は数の上では敵に劣っている。それを考慮に入れれば必然的にこのような星系を決戦場に選ばざるを得ないわけだ」
「他に質問はないか?なければもう終わりにするが…」
幕僚たちが沈黙しているのを見て、クロパチェクは満足げにうなずくと、幕僚たちを解散させた。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか…」
そうつぶやくとクロパチェクは戦況モニターに視線を移したのだった。
一方そのころイゼルローンを出撃してから回廊内をさまよっていた駐留艦隊だが、そんな中艦隊司令官ゼークト大将の元に一つの報告が届いた。
「閣下、前方ダゴン星系、第4惑星カプラチェンカの周回軌道上に敵艦隊らしき熱反応を検知しました」
「よし、直ちに向かえ!!叛徒どもを粉砕するのだ!!」
部下からの報告を受け、迷う事無くゼークト提督は決断する。そしてその命令が全艦隊に行き渡るまでに、それほど時間はかからなかった。
「敵艦隊は、わが軍の侵攻方向に対して11時方向斜め上に進路を取っています。このままでは我が軍と接触するのは3時間後となります」
「よし、それではこちらも敵との交戦に備えて布陣を開始する。各艦に伝達せよ」
「はっ、了解いたしました」
通信士官が命令を伝えるべくコンソールを操作し始める。それを横目に見ながら、ゼークトは戦術スクリーンに映し出されている敵艦隊の予想進路をじっと見つめる。
(小賢しい叛徒どもめ、ダゴン星系を奴らの墓場にしてくれるわ)
口に出さずにそうつぶやいた直後、彼の耳朶を陰気な声が叩いた。
「お待ちください閣下」
「何だ、まだ何かあるのか?」
不機嫌そうな顔で振り向いたゼークトに、声の主であるオーベルシュタイン大佐は淡々とした口調で告げた。
「閣下、これは罠です。ダゴン星系に入り込んではなりません」
「何だと!?」
上官の怒気にひるむことなく、陰気な参謀は淡々と言葉を続けた。
「閣下もご存じの通り、ダゴン星系は恒星の位置の関係で常に電磁波や
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