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渦巻く滄海 紅き空 【下】
六十一 外待雨が止む時
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けられると困るわ」


傍らの小南がカブトの案を却下する。

衰弱し、戦闘どころか歩くのもままならない状態の長門を診る唯一の医療忍者を手放すわけにはいかない。
自身とて看護を担当しているものの、医療技術に優れているカブトがいれば、長門の負担も大幅に減るのは間違いないと小南は理解していた。


「戦闘が長引くようであれば、マダラに強制撤去させる」
「……承知致しました」


小南に続いての長門の決定にカブトはわざと浮かべた不服げな顔の裏で、秘かに含み笑った。




















「口裏を合わせてくれて感謝する、オビト」

雨隠れの里から聊か離れた場所。

赤く色づいた木立の合間に、小さな橋がぽつん、と架けられている。
雨隠れの里と違って、雨雲がひとつもない抜けるような青空の下、紅葉がよく映えた。

落ち葉で覆われる水面に影がふたつ、映り込む。
水面を覗くわけでもなく、ひとり、橋に佇んでいたナルトは、背後から近づいてきた男へやにわに謝礼を告げた。


「なにを企んでいるかは知らんが、お前なら悪いようにはならんだろう」

デイダラ・サソリ・角都の死に対して『暁』のリーダーである彼が違和感を抱かないように手を回す。
サスケという新たな人材を話題にすることで三人の死への疑問を抱かぬよう、ナルトに口裏を合わせた仮面の男は、ナルトの謝礼に肩を竦めた。


「お前に今死なれると俺の夢が消えてしまう。それだけは避けねばならない」

目配せをした故に、ナルトのあとを後から追った仮面の男は、遠く離れた雨隠れの里を透かし見る。
ナルトの衣に散る銀色の雨粒だけが、寸前まで雨隠れの里にいた事実を露わにしていた。

珍しく晴れている里の上空を遠目で眺めながら、仮面の男は釘をさすように、目線をそのままに、口を開いた。

「お前は無駄なことはしない主義だ。俺はお前に従うだけさ」


仮面の奥の瞳がぎょろり、と動く。
仮面の奥から垣間見える眼は赤く、それでいて鋭く、ナルトを見据えた。


「────俺の願いを叶えてもらう為に」




雨隠れの里から仮面の男を引き離し、更には感知忍術である雨を『暁』のリーダー自ら止ませたナルトは、双眸を軽く閉ざす。

雨隠れの里へ潜入する男をあえて見逃し、ナルトは仮面の男の野望に頷きを返した。


「わかっているさ」







































水面が揺れる。
波紋が広がったそこから、ひょこっと蛙が頭を出した。

その口からおもむろに手が伸ばされた。
ぬるり
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