第121話『雨は上がって』
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ん? あぁ、そういやそうだったな。いや、別件だ」
あれは魔導祭1日目で予選が始まる直前、彼との初めてのエンカウントの時だ。話はてっきりその時の続きだと思っていたのだが、実はそうではないらしい。
晴登はなおさら心の中で身構える。
「──単刀直入に訊くぞ。お前、"三浦 琉空"って名前に聞き覚えはあるか?」
「……!!」
とある人物の名前を出された瞬間、晴登の肩がビクリと跳ねる。というのも、こんなところで聞くとは思っていなかった名前だからだ。
「俺の……父です」
「……! やっぱりか」
そう、"三浦 琉空"とは紛れもなく晴登の父の名前である。
だが、なぜその名前を影丸が知っているのか。以前、どこかで関わったのか……?
「何で知ってんだって面だな。俺はな、あの人の弟子だったんだ」
「えぇぇぇぇ!!??」
「しーっ! 静かにしろ! つか、そんなに驚くことか?」
「すいません! いや、だって……」
この答えを聞いて、声を上げるなという方が無理だろう。ただ知り合っただけならまだしも、父と影丸が師弟関係にあっただなんて、どう妄想しても辿り着かない。
第一、そこには1つの疑問があって。
「えっと……俺の父さんって魔術師なんですか?」
「……お前、知らなかったのか?」
「は、はい……」
影丸の師匠ということは、それすなわち魔術の師匠と考えるのが妥当だろう。父が格闘技を習っていたという話は聞いていないし、その分野の師匠はありえない。
であれば当然、父は魔術師ということになる。だが晴登はそんな話も一度も聞いたことがなかった。
「そうか、知らなかったのか……。じゃあどうしてあんなに……」
その答えを聞いて、影丸が何かを不思議に思ったのか思案に暮れる。声をかけるべきか迷ったが、話が進まないので割り込むことにする。
「あ、あの……」
「ん? あぁ悪い。まぁお前が知らないってことは意図的に師匠が隠してたのかもしれねぇな。ならまずはそこから説明しねぇと」
そう1拍置いて、影丸は思い出すように語り始めた。
「まずお前の父はすげぇ魔術師でな、昔は"風神"って呼ばれてたほどの風の使い手だったんだ」
「"風神"……!? それって能力がですか!?」
初手から耳を疑う情報を喰らい、早速頭がバグりそうになる。"神"という名が付くなんて、一体どんな活躍をしたのだろうか。"風神"というのがもし能力であるならば、レベル5以外ありえないと断定できる。
「いや、能力は別物で、レベルもそれほど高くなかったな」
「じゃあどうして……」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ