第121話『雨は上がって』
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方と話したがっている」
「……! 影丸さんが?! というか、無事だったんですね!」
「あぁ、辛うじてな。あいつは丈夫だから、多少のことで死にはしない」
影丸が無事だと聞いて、晴登はホッと胸を撫で下ろす。目の前でボロボロになっていく姿を見てしまっていたから、大事がなくて本当に良かった。
「まだ体調が優れないようであれば、日を改めるが」
アローが晴登がベッドに横たわっているのを見てそう提案したが、日を改めると言ってもそれがいつになるのかわからない以上、今行っておく方が良いだろう。何を話すのかはわからないが、断るのはさすがに申し訳ないし。
終夜に目で意見を仰ぐと、彼は好きにしろという風に苦笑いを零した。
「いや、大丈夫です。今から行きます」
「そうか。では部屋まで案内しよう」
晴登はよろよろと立ち上がり、アローの肩を借りて影丸の元へと向かうのだった。
*
アローに連れられて彼らの泊まる部屋まで来た晴登。彼が部屋のドアを開けると、まずベッドに横たわる影丸の姿が目に映った。
「影丸、戻ったぞ」
「し、失礼します」
一体何の用事かと少し緊張して、自然と背筋が伸びる。影丸が目を覚ましたことは非常に喜ばしいのだが、それはそれとしてまだ接点が少ない。勝手に目をつけられて、変な質問をされた記憶しかないのだ。上手く話せるだろうか。
「それでは私は席を外す。アーサーが寝ているから、大きな音は出さないように」
「は、はい」
晴登を椅子に座らせた後にそう言い残して、アローは部屋を出て行った。配慮のつもりなんだろうが、正直少し心細い。
部屋を見渡すと、確かに別のベッドでアーサーも眠っていた。彼はまだ目覚めていないようで、すぅすぅと吐息を立ててぐっすりと眠っている。
「……」
「えっと……」
一方、一言も口にすることもなく、こちらを睨みつける影丸。いや、元々目付きが悪かったから、きっと睨んでいる訳ではないと思う。たぶん。
──少し視線を落とすと、彼の全身に痛々しく巻かれた包帯が目に入る。
晴登も見ていたが、身体中を水でできた槍のようなもので貫かれたのだ。人によっては致命傷だというのに、こうして意識が戻るまで回復していることは本当に凄いと思う。
「……あぁ、めんどくせぇ」
「え?」
晴登が1人で感心していたところに、影丸がぶっきらぼうにそう吐き捨てた。
どうしたのかと再び彼と目を合わせると、少しだけ目付きが和らいでいた気がした。
「いきなり悪かったな。お前をここに呼んだのは、その……訊きたいことがあったからだ」
「それって、前に質問されたことですか……?」
「
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