第121話『雨は上がって』
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「……じゃ、じゃあ俺はお前が起きたことを部長たちに知らせて来るわ」
「え、でも今は会議してるんじゃなかった?」
「あ、そうだった……」
珍しく勘違いをして、赤くなった頬をさらに赤くしながら、伸太郎は座り直す。時々おっちょこちょいな所があるから、晴登も伸太郎に気兼ねしなくて済むというものだ。
そのまま2人は終夜が戻るまで駄弁り続けるのだった。
*
「ただいま〜!」
すっかり日が落ちた頃、ようやく終夜が部屋に戻ってきた。元気に振舞ってはいるが、顔を見ると疲れているのがよくわかる。
「あ、部長」
「三浦! 起きたのか! 大丈夫か?!」
「もう平気です。魔力切れなんて慣れたもんですよ」
「普通はそんな状況にならないんだけどな……。まぁ無事なら良かった。結月もさっき目覚めたらしいから、動けるようになったら会いに行くといい」
「……! はい!」
駆け寄って来た終夜を安心させつつ、結月が目覚めたことを聞いて晴登も安堵する。後でちゃんと謝って、そして感謝の言葉を伝えないと。
「それにしても、今日のお前は凄かったな〜。よくあれに立ち向かおうと思ったぜ」
「部長、その話もうしたっす」
「えぇ? 俺も話したいんだけど。だって痺れたぜ。あんな度胸、一体どこで身につく──」
──ピンポン。部屋のチャイムが鳴った。
全員が入口に視線を向け、終夜が代表してドアを開ける。そこには驚くべき人物が立っていた。
「あ、アローさん?!」
「突然すまない。ここは【日城中魔術部】の部屋で合ってるか?」
「はい、そうですけど……」
「では、三浦 晴登はいるか?」
「ここにいます」
唐突に部屋を訪れたのは、【覇軍】のアロー。室内では帽子を脱いでおり、茶色の伸びた前髪が片目を隠している。
どうやら目当ては晴登らしく、「失礼」と一言断ってから部屋に上がり込んだ。
「先の戦い、其方の活躍は見事であった。あの場にいた魔術師を代表して、ここに感謝の意を示す」
「そんな! 俺なんかやられただけですし……」
「そんなことはない。其方のおかげで雨男は退いた。其方が私たちを救ったのだ」
「いや、でも、俺より結月の方が……」
急に感謝されて、晴登は戸惑う。自分でもお手柄かもとは思っているが、いざこんな凄い人に褒められるとさすがに畏れ多い。だからつい、結月の名を挙げて逃げてしまった。
「もちろん、彼女にも後で礼を伝えに行くつもりだ。しかし、今こうしてここにいるのは感謝をするためだけではない」
「え?」
「手負いのところすまないが、私たちの部屋に来てもらえないだろうか? 影丸が其
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