暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第117話:大人は子供を助けるもの
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して、試験管の一本を取ろうとした。
その時、2人の背後から強い懐中電灯の明かりが照らされた。
「はいそこまで〜! 悪戯の時間は終わりよ、小さい泥棒さん?」
「デッ!?」
「あっ!?」
そこに居たのは了子だった。何時の間にかメディカルルームに来ていた了子は、部屋に備え付けの懐中電灯で2人の事を後ろから照らしたのだ。
「な、何で了子さんがここに!?」
「そりゃ響ちゃんを心配しての事に決まってるじゃないの……ってのは建前で、アルドから貴方達2人がメディカルルームに入っていくのを見たって言われて、何をするつもりなのかピンと来たって訳」
響をメディカルルームで治療する際、もしもと言う時の事を考えアルドが響の周りに不可視の結界を張っていたのだ。響に近付く者を弾いたりするようなものではなく、誰かが近付けばアルドに報せが届く程度の簡単なものだが。
そして飛んできた了子は、自分が入った事にも気付かず奏専用のLiNKERに夢中の調と切歌の2人を発見したのだった。
「全く、困った子達ね。そのLiNKERは奏ちゃん用だって言ったでしょ。マリアちゃんは問題なかったけど、貴方達はまだ子供。そんな子供達に奏ちゃん用の強力な奴を使ったりしたら、オーバードーズで最悪戦う前からグロッキー何て事にもなりかねないのよ。そこのところ分かってる?」
突如始まった了子からの説教に縮こまり正座する2人。自分達がやっている事が本当は良くない事だと理解しているので何も言い返せない。
しかし同時にジッとしていられないと言う少女特有の溢れる気概が何時までも黙っている事を良しとしなかった。
「でも、このままじゃ響さんが――!?」
「私達だって、戦えるんデス!」
「シャラップ!」
2人の反論を了子は一喝で黙らせる。普段笑顔で優しく接してくれる了子からの厳しい一喝。
だが了子は直後に柔らかな笑みを作り、正座した2人に視線を合わせるようにその場で膝をついた。
「その気持ちは大事よ。だけど、無鉄砲はダメ。何かしたい事があるなら、まずは大人を頼りなさい。大人は貴方達子供を守り手助けする為に居るんだから」
そう言って了子は二本の試験管を2人に一本ずつ手渡した。それは明らかにLiNKERだった。
「え!?」
「了子さん、これ!」
「貴方達2人の為に、大急ぎで調整したLiNKERよ。と言っても急ごしらえだから、まだまだ完全じゃないわ。不具合が出ないと言う保証はないけど、それでもこっちの方がマシな筈よ」
了子が翼とクリスのシンフォギアの改修作業に携わっていなかった理由の一つはこれだった。奏のギアの改修に加え、LiNKERの調整作業までしなければならなかったのだからそりゃ手が回る訳もない。
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