いらない
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マスター」
マスター。
その言葉から、友奈はさらにぞっとした。
これまで幾度となく友奈たち___友奈自身が実際に対面したのは一度だけだが___を苦しめてきたサーヴァント。今、令呪を使って彼が呼び出されたということは。
彼女こそが、トレギアのマスターだということになる。
「わざわざ貴重な令呪を使ったんだ。よっぽどの要件なんだろう?」
「殺して! アンチを殺して! アンチ君も……そこの生意気な奴も!」
「!」
「へえ……マスターの命令となれば仕方がない。悪く思わないでくれよ!」
命令を受けて、即効性のもつトレギアの雷撃が、友奈を襲う。
だが。
それが友奈に辿り着くよりも早く、友奈の前に白い小動物が現れていた。
牛鬼。
アカネの追跡を請け負っていた牛鬼が、その体より桃色の花の形をした防壁を張っていた。トレギアの雷撃を霧散させ、そのまま友奈と並び立つ。
「行くよ、牛鬼!」
友奈は即座に、スマホに表示されたボタンを押す。すると、友奈のスマホから無数の花びらが舞い上がり、山一面を彩った。
もともと周囲にある桜の景色に、さらなる桃色の花びらが増えていく。この場を写真に収めれば、友奈本来の美しさも相まって、きっと絵画のような芸術になれただろう。
そして。
ウインクを合図に、友奈の姿が変わっていく。桃色の花びらが重なり、やがて白く染まっていく。友奈の髪形も大きく伸び、長く桃色のポニーテールとなっていく。最後に前髪に髪留めが付けられ、その変身は完了する。
「讃州中学二年勇者部、結城友奈! 行きます!」
花びらが舞い散る中、友奈は跳び上がる。
体を回転させながら、トレギアへ裏拳を叩き込む。
トレギアは背中を曲げてそれを避ける。
「おいおい……前に戦った時に学んでいないのかい? キミの攻撃は私に届かない」
「そんなことない! なせば大抵なんとかなる!」
「ふうん……アレが聖杯戦争の参加者……」
眼鏡を着けなおしたアカネから光のない目で見られながらも、友奈は武術を駆使し、トレギアの腕を弾き上げ、裏拳を見舞った。
だが、友奈の攻撃一つ一つをトレギアは柔軟に回避する。さらに、トレラアルティガで友奈を引き離し、怯んだところに爪で空間を赤く切り裂く技、トレラテムノーを放つ。
友奈の腕から桃色の防壁が発生したが、トレギアの斬撃は障壁を貫通し、友奈の体から火花を散らした。
その勢いにより、友奈は森から突き飛ばされ、遊歩道に転がり出た。
休日の散歩道。人が少ないはずもなく、周囲の人々の注目は一瞬で友奈に集まった。
さらに、頭上に追撃してきたトレギア。彼は容赦なく蒼い雷撃を溜め込み、放った。
「いけない!」
雷という、不規則な動きを持つそれ。周
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