いらない
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よ! 山道は危ないんだよ! ちゃんと道順を守って!」
「……」
「ちゃんと準備もして、アレコレ用意しないと!」
「うるさい」
吐き捨てた少女は、そのまま山の奥へ進もうとする。だが、それで放っておくことはできない。
その時。
「アンチ君……?」
少女は足を止めた。
彼女の目線の先から、木陰から紫のローブが姿を現した。
少女よりも、友奈よりもさらに背が低いその身長。
アンチ、と呼んでいいのだろうか。彼は、目深に被ったローブで少女を見つめていた。
少女はため息をついて、少年に近づく。
「何? ムーンキャンサーは見つかったの?」
少女の問いに、アンチは大股で少女へ近づいていく。
「助けに来た」
「……はあ?」
少女は顔を歪める。
アンチは続ける。
「ムーンキャンサーを見つけた」
「えっ!」
その一言に、少女は表情を明るくする。
だが、続くアンチの言葉に即座に暗くなった。
「だが、アイツをお前にはもう合わせない。アイツは危険だ」
少年はそう言って、フードを脱いだ。
白い髪に友奈の目が奪われるのはほんの一瞬。彼の顔を見て、友奈は口を覆った。
「あっ!」
右目に強烈なまでに存在感を走らせる傷跡。大きく彼の世界の半分を潰したその傷に、友奈は思わず口を覆った。
「君……目が……っ!」
「どうしたのそれ」
「トレギアにやられた。それにムーンキャンサー……アイツは危ない。だから……!」
アンチがそこまで言った瞬間、少女はアンチへスマホを投げつける。
全く抵抗しない少年の顔面に、平面の機械が殴りつけられた。
「ちょっと待って!」
少年を無視して進もうとする少女の前に、友奈は立ち塞がる。
「そういうの、良くないよ!」
友奈はスマホを拾い上げて、少女に押し付ける。
「はい,! ちゃんとこの子に謝って!」
「……ほんっと何こいつ」
少女は不機嫌な顔を隠そうともせず、友奈を睨む。友奈の手からスマホを引ったくり、友奈の肩を押し飛ばす。
だが、友奈は引き下がることもなく食い下がった。
「物を投げるのも、人を傷つけるのもいけないことだよ! だから、謝って! ね、君も痛かったでしょ?」
「俺は……」
「どうでもいい! そいつ、もういらない!」
「いらないって……」
その言葉に、友奈は唖然とした。
「弟でしょ? 何でそんなこと言えるの!?」
「弟じゃない! こんな失敗作の怪獣なんて!」
少女は友奈を突き飛ばし、アンチの肩を押し飛ばす。
転がっていったアンチは、そのまま少し斜面を落ちていく。木の幹に激突し、ようやく止まった。
「だ、大丈夫!?」
友
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