第二十七章 白と黒
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さっきの話に戻るんじゃけどな。真っ暗な部屋で、目覚めたいうたじゃろ。ほいで、わけ分からぬまま壁を手探りしていたら、扉が音もなく開いてな」
「あたしもだよ。扉がぶっ壊れてて閉じ込められていたのは、アサキのバカだけだ」
「部屋を出て、エイリアン出そうな気持ち悪い造りの通路を、うねうねうろうろしている間に、とてつもない音が、骨にガンガン響いてきての」
「ああ、外へと出たら、あたしらが至垂と戦ってたってわけだ」
カズミはうんうん頷いた。
「劣勢のようじゃったから、急ぎ変身してな。こっそり屋上に上ってな。一撃必殺の槍を、狙っとったんよ」
「あんまり役に立たなかったけどな」
ははっ、とカズミの乾いた笑い。
「仕方ないじゃろ! 奇襲の効果は、最初の一撃目にしかないんじゃから」
そして、それをあっさり避けられてしまったのだ。
元々が圧倒的強さの至垂が、さらに別生物と合体してより強力になっているので、仕方がないことではあるのだが。
「まあ、あいつ、本当に手強かったからな。でも……キマイラだからってことなら、こっちも無敵のキマイラが一人いるはずなんだけど」
「ごめん」
アサキは、ぼそっとした声で謝った。
責められているわけでないのは分かるが、でも自分がふがいないせいで、カズミたちの生命を危険に晒したことに変わりはないからだ。
「お前は、強くなることにまるで興味ねえもんなあ。それどころか、大ピンチだってのに、超魔道着も着ねえんだもんな」
カズミは苦笑した。
慣れていないし、どうであれみんなと同じ魔道着で戦いたい。そんな理由でアサキは、元々メンシュヴェルトから支給されていた汎用の魔道着で至垂と戦っていたのだ。
「ごめん……」
「謝んなっていったろがあ!」
ぶあっ
アサキのスカートが、下から地下鉄の風を受けたかのごとく、猛烈全開にめくれ上がっていた。
「ああああああああ!」
アサキは前屈みになって、両手でスカートを押さえ付けた。
「カズミちゃん! なにするの!」
「謝ったら、めくってパンツ下ろすっていったろが」
「いわれてないよ、そんなこと!」
もう謝るなとは、確かにいわれたと思うが。
こんなことをされるだなんて、聞いていない。
「うるせえ、次は本当にパンツ脱がすぞ。ってアサキのお子様パンツのことなんか、どうでもいいや。……なんの話してたっけ? ああ、そうだ、至垂が強かろうとも、こっちは、そのお子様パンツのキマイラ様とあたしたち……」
「どうでもいいならいわないでよ」
「お こ さ ま パンツと、あたしたち精鋭の魔法使いが二人だ。悪かない戦力のはずなんだけどな。でもあの野郎も、あ、いや女だったんだよな、でっけえ怪物と合体して、すげ
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