第二十七章 白と黒
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っかん原爆いやゲンコツが落ちたのだった。
「つうう、いってえなあ。いたいけでか弱い女子に、なにすんのよお」
「アサキちゃんの巨大パンチを落としてやりたいとこじゃ! そもそも、いたいけな女子が、いきなり人にデコピンするか!」
ったく困ったカズミちゃんじゃ。と、なおぶつぶつ小言をいっている治奈。
その様子に、またアサキはぷっと吹き出した。
が、すぐに顔を真面目に戻して、
「そういえば、治奈ちゃんもやっぱり、気が付いた時はこのビルの中だったの?」
尋ねた。
ねじれ歪んだ妙な形状の建物へと視線を向けながら。
「ということは、アサキちゃんたちもか。気持ち悪いのが天井からぶらぶらしとる、明るいのか暗いのか分からん部屋の中でな。気付けば、ぼーっと天井を見つめておった」
「わたしたちと、おんなじだ」
「明るいのか暗いのかというのも、なまじ魔力の目が効いていたからそう感じただけで、結局そこは真っ暗闇だったようじゃ」
「そうなんだよ、わたしまだ魔力の目のコントロールが上手じゃないから、切って試すこと出来なかったけど。光の、まったく入り込まない部屋で」
「部屋だけじゃのうて、おそらくここもじゃろな。ぶち気持ちの悪い話じゃけど」
「やっぱり、そうだよね」
アサキは頷いた。
建物の中ならいざ知らず、屋外すらもまったく光源がないということに。
まさかとも思っていたが、治奈までがそういうのだからもう間違いないことなのだろう。
もしわたしたちが魔法使いでなかったら、完全に盲目と同じだったな。
アサキは、思った。
魔力の目があってよかったけど、でもこの気持ち悪さはまた別だ。
人の作った建物があるというのに、そしてここは外なのに、光がまったくないだなんて。
どうなって、いるんだ。
「そうなってくるとさ、ここはどこか、って話だよな」
カズミは腕を組んで、難しい顔で考え込んだ。まだ地べたにあぐらかいたままで。
「やっぱりリヒトの基地ん中で、すべては立体映像とか。または、現在か遠い未来か分からねえけど、太陽も星々もすべて吹っ飛んで消え去った世界。または、誰かが見てる夢の中とか。または、魔法的な力で幻覚を見せられている、もしくは、結界に閉じ込められている。それか、ここは異空みたいな別次元、または……」
「よう矢継ぎ早に想像が出るけえね。……うちはまだなんにも考えられん。ただ怖いだけじゃ。魔力の目で物体の認識は出来とるとはいえ、か弱い娘が真っ暗闇に三人きりで。どこに至垂が潜んでおるかも、分からんしのう」
治奈は薄ら寒そうに自分の身体を両手に抱く。
「か弱い娘って……。しかしその至垂の件だけど、お前、よくああもどんぴしゃタイミングよく現れたなあ」
「うん。それは、
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