暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
勇者部活動
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
ずつ指定した場所に配置していく。
 季節に似合わない黒いローブを羽織った彼女は。

「なんかますます魔女っぽいね!」
「俺たちの知り合いの魔法使いはエセっぽく思えてきたぜ!」

 この時、見滝原のどこかで、真司たちの知り合いのエセ魔法使いはくしゃみをした。
 そして、目の前の本物の魔女は薬品と薬品を調合し始める。

「これ、どっちかって言うと化学実験じゃね……?」
「魔法の力ってすごい!」
「俺たちのすぐ近くにも魔法使いいるけどな」
「そうなんですか!?」

 薬品を調合している最中の真琴が振り返った。

「うん! 魔法使う時、すっごい変な音で歌うんだよ!」
「歌って魔法を使えるんですか? すごいです! お姉ちゃんからはそんな魔法聞いたことないです」
「あれってなんで魔法使えるんだろうな」
「後日、是非会わせて下さい!」

 目をキラキラさせながら、真琴が真司に顔を寄せた。
 真司は了承して、彼女の背後の薬品に目をやった。
 途端、調合中の薬品の色合いが一転して紫となった瞬間を目撃してしまった。

「わわっ! 真琴ちゃん真琴ちゃん! 前! 前見て! 薬がっ!」
「ほえ?」

 とぼけた表情の真琴が、紫になった薬を見て真っ青になった。

「はわわわっ!」

 慌て出した真琴は、懐から布を取り出し、煙を煽る。

「いけませんいけません! このままだと……」
「このままだと?」
「色んな虫が湧いてくるんです!」
「何でそんなデメリットあるやつを使った!?」

 真司が悲鳴を上げている間にも、まさにそのデメリットが発生していた。
 山というだけあって、無数の虫たちがその姿を現わす。
 緑で覆われた芝を染め上げていくような虫の大群は、そのまま何を目的としているのか、魔女の薬品に群がっていく。

「に、逃げて下さい!」
「うわああああああああああっ!」
「わあああああああああああっ!」

 真司と友奈は声を重ねて悲鳴を上げた。
 何とか虫たちから逃げ切り(その際真琴が用意した薬品類はすべて持っていかれた)、踏み荒らされた芝生だけが残された。

「……し、失敗しちゃいました」
「これ、結局魔法とか使わないで普通に片付けた方が速かったんじゃない?」
「言わないでください……!」

 真琴は目を瞑って耳を塞いだ。

「まあまあ。ほら、普通のごみ袋持ってきたから。やっぱり人の手でやってこそのゴミ掃除だろ!」

 真司はそう言って、リュックから持ってきたゴミ袋を取り出す。友奈と真琴にそれぞれ渡し、右手を掲げた。

「よおし! やるか!」
「お、おお!」
「挽回します……!」

 友奈と真琴も、それぞれ気合を入れてゴミを集めに山の中へ繰り出していったのだ。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ