勇者部活動
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
。
真司はほほ笑みながら、肩を鳴らした。
「さて。それで、今日はここで何をするんだ?」
「ゴミ拾いだよ。ほら、山って結構ポイ捨て多いでしょ?」
「ああ、確かにな」
真司は頷いてキャンプ場を見渡した。
一見するとのどかな緑の広場でも、あちらこちらに風情を台無しにする無機物が放置されている。
ビニール袋、食品容器、バーベキューセット、エトセトラ……。
「確かにこりゃひどいな……」
「で、わたしのバイト先の店長の友達の妹の隣に住んでいる人が、結構自然保護に力を入れているんだって。それでわたしに声がかかったんだよ」
「それってもはやただの他人じゃねえか!」
「時間もそろそろだし、来るんじゃないかな?」
友奈は真司の腕時計を確認する。
そろそろ太陽が南中する時間に、真司はまた伸びをした。
そのとき。
「にゃー」
「猫だ!」
友奈の声に、真司は振り向いた。
友奈の視線の先には、じっとと友奈を見つめる猫。
友奈は「ほーら、こっちおいで〜」と手招きをしている。
猫は「にゃー」とジト目を浮かべてそっぽを向いた。
「あれ? おかしいな、来ないよ?」
「猫じゃらしでも使えばいいんじゃないか?」
「うーん、近くにないな……あれ?」
猫は友奈の手に前足を押し当てる。すると、友奈が「わああっ!」と顔を明るくした。
すぐに猫は友奈から離れ、走っていく。だが、見失うほどの距離を引き離すよりも先に、猫は足を止めて振り向いた。
「どうしたんだろ?」
猫はまた、友奈に近づく。数回友奈の周囲を回転したあと、また離れていく。
「もしかして、付いてこいって言ってるんじゃないか?」
「そうなの? 猫ちゃん」
友奈の問いかけに、猫は「にゃー」と答えるだけ。
そして。
「待って下さい、チトさん!」
その声が、猫の動きを止めた。
やがて、山道から、女性が姿を現す。
「あ、友奈さん! 遅れてごめんなさい」
山道に適した服装に身を包んだ彼女は、髪に手を当ててほほ笑んだ。
大人びた印象の強い彼女だが、誤魔化し笑いには幼さを残していた。
その姿を見て、友奈も彼女に駆け寄った。
「ううん! 大丈夫だよ! ほら、ちゃんと手伝ってくれる人も連れてきたし!」
「城戸真司。よろしくな!」
真司の挨拶に、彼女は「はい」と応じた。
「この度はありがとうございます。依頼人の木幡真琴です」
高校生だろうか。
まだあどけなさが残る笑顔だったが、随分と大人びた印象を受けた。
真琴と名乗った少女は、自らの肩に飛び乗った黒猫___チトさんに手を当てた。
「こちらはチトさんです。よろしくお願い
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ