第一章
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色気のない恰好
川口早苗はよく周りから色気がないと言われている、黒髪をショートにしボーイッシュにセットしている。
黒い切れ長の目と小さな唇に小さな顔で背は一六七ある、スタイルもいいが。
「あんたどうもね」
「いつもズボンで上も露出少なくて」
「スタイルはいいけれど」
「色気ないのよね」
「胸は大きくて脚も奇麗だけれど」
「いや、服は動きやすくてね」
早苗は友人達に話した、職業はＯＬである。
「それで冬は暖かくて夏は蚊に刺されない様にで」
「それでズボンなのね」
「確かにズボン動きやすいしね」
「冬は暖かいし」
「夏は蚊に刺されないし」
「私の家って近く竹藪あるから」
それでというのだ。
「蚊が多いから」
「気をつけてるのね」
「そうなのね」
「だから夏もズボンで」
「足首までのなのね」
「そうなの、ズボンは絶対よ」
自分にとってはというのだ。
「本当にね」
「そこまで言うならね」
「もう仕方ないわね」
「けれど色気はね」
「どうしてもね」
友人達はこう言う、それでもだった。
交際相手の坂本隆行は早苗がそうしたことを話しても明るく笑って言った。黒髪をストレートで肩まで伸ばしている面長で明るい顔の長身の痩せた男だ。職業はバーテンダーである、合コンで知り合って付き合っている。
「そんなの気にしなくていいよ」
「色気がないことは」
「だって俺が好きなんだから」
早苗自身をというのだ。
「ファッションがそうでもね」
「いいの」
「いいよ、けれど気になってるんだ」
「色気がないことはね」
「自分でそう思うならさ」
隆行は明るい笑顔で話した。
「そうした格好もしてみたら？」
「そうしてみるわね」
早苗は隆行と会った時に彼に言われてだった。
実際にそうした服装をしてみることにした、それでだ。
「スカート買ったの」
「そうしたの」
「試しにね、今度着てみるわね」
こう言ってだった。
実際に外出の時にスカート姿で出てみると。そのスカートはタイトミニであったが。
「ああ、何か特撮ヒーロー？」
「今にもアクションしそうな」
「そんな感じでね」
「色気より恰好いい？」
「何か違うわ」
「というかスパッツって何よ」
スカートの下のそれも指摘された。
「せめてタイツじゃないと」
「駄目でしょ」
「だから寒いから」
早苗は眉を曇らせて返した。
「やっぱりね」
「いや、寒くてもよ」
「色気出すならタイツでしょ」
「スパッツだと色気ないわよ」
「それじゃあね」
足首までの黒いスパッツを見てだ、友人達は話した。
「スカートには素足かタイツなのに」
「もうあんたスカートは諦めた方がいいわ」
「寒いから
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