可能性
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が、その異形の顔の下でほほ笑んだ。
そして、今まさにトレギアの手から闇の光線が放たれようと、腕を動かした時。
「……おいおい……出てきちゃうのかい……?」
突如として、トレギアは腕の閃光を収めた。
トレギアは続けて、その名前を口にした。
「まだ君の出番じゃないんだけどなあ……___ムーンキャンサー___」
ムーンキャンサー。
その名前に、アンチはじっとその視線をトレギアの目線の先に移す。
瓦礫の影からのっそりと現れた、蝸牛を思わせる軟体。その背中には、これまた蝸牛に似た甲羅を背負っており、つぶらな瞳を持つ顔付きから可愛らしさを想起させた。
「あれが……ムーンキャンサー……」
あんなものを探していたのか、とアンチは心の中で呟いた。
ムーンキャンサーは顔を上げてトレギア、アナザーアギト、そしてアンチの順番で姿を確認していく。やがて何を思ったのか、ムーンキャンサーは、その触手を縦横無尽に振り回しはじめた。
アンチとアナザーアギトどころか、トレギアまで巻き込むその攻撃に、全員は被弾、それぞれがダメージを負った。
「ぐっ……」
「へえ……」
トレギアは、傷を負った右腕を撫でながらムーンキャンサーを見つめていた。
「やはり凄いね……これでまだ成長途中だというのだから、本当に末恐ろしいものだよ」
「むぅ……」
ムーンキャンサーは、当面の敵としてアナザーアギトを選んだ。無数の触手を一束にして放つ。
それに対してアナザーアギトは手刀を振り下ろし、それを地面に叩き落とした。大きく地面ではねた触手の束を、即座にアナザーアギトはまとめて掴む。
「むううううっ!」
アナザーアギトはその剛腕をもってムーンキャンサーを触手から引き上げ、そのまま投げ飛ばす。身動きが取れない空中へ放られたムーンキャンサーを見上げたアンチは、アナザーアギトの顔に付いているクラッシャーが引き上げられたことに気付いた。
構えると同時に、アナザーアギトの足に集約されていく緑色のエネルギー。全て吸収しきったところで、アナザーアギトは飛び上がり、蹴りを放つ。
怪鳥を倒したほどの力を持つアサルトキック。
だがそれは、ムーンキャンサーに届くことはなかった。
触手を翼のように広げ、その間に淡い色の幕を張る。まるで水の中にいるかのように揺れ動くそれは、夕陽を反射して虹色の光を反射している。
途端に上昇し、ムーンキャンサーはアサルトキックの軌道から逸れた。
さらに、ムーンキャンサーはその口をアナザーアギトの背中に向ける。
先ほど怪鳥が見せたものと同じ、超音波メスが吐き出された。それはアナザーアギトの背中を直撃し、赤い血しぶきを散らす。
そのまま、ムーンキャンサーは空を泳ぐ。落下中のア
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