暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
可能性
[3/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
色の十字が解き放たれ、そのベネチアンマスクが姿を現わす。
 それを頭に付けた男。すると、ベネチアンマスクから蒼い闇が溢れ出し、道化としての霧崎の姿を作り変えていった。
 銀の異星人の顔に、闇の仮面を張りつけたそれは。

「トレギア……」

 アンチは後ずさる。
 トレギアという名前を数回口に含んだ薫は、アンチの前に立った。

「この気配……サーヴァント、参加者か」
「ええ」

 トレギアはクスクスとほほ笑む。

「その反応を察するに、貴方も聖杯戦争の関係者のようだ。まあ、今回はその子を渡してくれれば見逃してあげますよ?」

 トレギアは腰で手を組みながら言った。
 薫は静かにサングラスを外し、胸ポケットに収納した。

「他人の家庭事情に口を挟む気はないが……君は少し、信用できない」
「ひどいなあ……」

 トレギアはクスクスと笑いながら、体を歪める。即座に彼は右手を薫に向け、手から蒼い閃光がアンチへ迫っていく。
 だが。

「変身」

 薫は即座に緑の光を全身に宿らせる。
 人間としての身体を全く別の有機物に作り変えていくそれは、やがて光と闇の神の戦いにより、人間に与えられた超能力、アナザーアギトへ生まれ変わらせていく。
 変身終了、即座にアナザーアギトが繰り出した緑のアサルトパンチにより、蒼い雷が弾け飛ぶ。

「へえ……」

 アナザーアギトの姿を吟味しているトレギアは、やがて顎を撫でた。

「なるほど。処刑人かな」
「捨てた名だ」

 アナザーアギトは身構えながら応える。

「だが、君がもしこの少年に危害を加えるのならば、私も手加減するつもりはない」
「へえ……なら、処刑人。この私を処刑してみなよ。それが、君のルールだろう?」

 トレギアはそう言って、蒼い閃光を放った。
 アナザーアギトはアンチを抱え、回避する。被弾箇所が弾け跳び、石片がアンチの頬を切った。

「逃げなさい」

 アナザーアギトはアンチを下ろして言いつける。

「……お前は?」
「君が逃げる時間くらいは稼ごう」

 アナザーアギトはそして、右腕を突き立てる。
 トレギアはしばらく顎を掻きむしり、アナザーアギトを指差した。

「君も物好きだねえ。ただの怪物を守ろうとするなんて」
「私はもともと死んだ身だ。ならば、今を生きる者のための力になるべきだろう」
「へえ……」

 トレギアは肩を鳴らしながら、その右手に赤い雷を迸らせた。
 トレラアルティガイザー。これまで数々の命を奪い、これからもそれを続ける予定の技ア。その構えを解くことなく、トレギアは尋ねた。

「処刑人が、ただの怪獣を庇おうとするのかい? 随分と物好きじゃないか」
「……ふん」

 アナザーアギト
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ