可能性
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色の十字が解き放たれ、そのベネチアンマスクが姿を現わす。
それを頭に付けた男。すると、ベネチアンマスクから蒼い闇が溢れ出し、道化としての霧崎の姿を作り変えていった。
銀の異星人の顔に、闇の仮面を張りつけたそれは。
「トレギア……」
アンチは後ずさる。
トレギアという名前を数回口に含んだ薫は、アンチの前に立った。
「この気配……サーヴァント、参加者か」
「ええ」
トレギアはクスクスとほほ笑む。
「その反応を察するに、貴方も聖杯戦争の関係者のようだ。まあ、今回はその子を渡してくれれば見逃してあげますよ?」
トレギアは腰で手を組みながら言った。
薫は静かにサングラスを外し、胸ポケットに収納した。
「他人の家庭事情に口を挟む気はないが……君は少し、信用できない」
「ひどいなあ……」
トレギアはクスクスと笑いながら、体を歪める。即座に彼は右手を薫に向け、手から蒼い閃光がアンチへ迫っていく。
だが。
「変身」
薫は即座に緑の光を全身に宿らせる。
人間としての身体を全く別の有機物に作り変えていくそれは、やがて光と闇の神の戦いにより、人間に与えられた超能力、アナザーアギトへ生まれ変わらせていく。
変身終了、即座にアナザーアギトが繰り出した緑のアサルトパンチにより、蒼い雷が弾け飛ぶ。
「へえ……」
アナザーアギトの姿を吟味しているトレギアは、やがて顎を撫でた。
「なるほど。処刑人かな」
「捨てた名だ」
アナザーアギトは身構えながら応える。
「だが、君がもしこの少年に危害を加えるのならば、私も手加減するつもりはない」
「へえ……なら、処刑人。この私を処刑してみなよ。それが、君のルールだろう?」
トレギアはそう言って、蒼い閃光を放った。
アナザーアギトはアンチを抱え、回避する。被弾箇所が弾け跳び、石片がアンチの頬を切った。
「逃げなさい」
アナザーアギトはアンチを下ろして言いつける。
「……お前は?」
「君が逃げる時間くらいは稼ごう」
アナザーアギトはそして、右腕を突き立てる。
トレギアはしばらく顎を掻きむしり、アナザーアギトを指差した。
「君も物好きだねえ。ただの怪物を守ろうとするなんて」
「私はもともと死んだ身だ。ならば、今を生きる者のための力になるべきだろう」
「へえ……」
トレギアは肩を鳴らしながら、その右手に赤い雷を迸らせた。
トレラアルティガイザー。これまで数々の命を奪い、これからもそれを続ける予定の技ア。その構えを解くことなく、トレギアは尋ねた。
「処刑人が、ただの怪獣を庇おうとするのかい? 随分と物好きじゃないか」
「……ふん」
アナザーアギト
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