第一章
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お金目的だったのが
しがないサラリーマンの佐藤俊介は同期池谷美和子地味で小柄でスタイルもぱっとせずもっと言えばメイクもしないで服装も目立たない彼女の噂を聞いて言った。
「ああ見えてか」
「そうらしいんだよ」
友人は佐藤、黒髪をセンターで分けて整えきりっとした切れ長の目と形のいい顎と唇にすらりとした長身を持つ彼に話した。
「実家は実はな」
「地元じゃ有名な資産家でか」
「代々県会議員も出してるらしいな」
「マジセレブか」
「みたいだぞ、家はお屋敷でな」
「そんな娘だったんだな」
「意外だろ」
「あんな地味で目立たないし無口なのにな」
「それでもだよ、大学も別にお金持ちのところでなくてな」
都内の普通の大学だった。
「住んでるところも普通のマンションでもか」
「実はなんだよ」
それがというのだ。
「そうらしいんだよ」
「意外なんてものじゃないな」
「全くだな」
「そうか、しかしそんな娘なら」
佐藤はその話を聞いて美和子を狙おうと思った、外見は何の魅力も感じないでもっと言えばタイプではなかった。
だが如何にもこれまで誰とも付き合ったことがなさそうなのでちょっと声をかけて口説けば篭絡出来ると思った。
それで実際に誘いをかけるとだった。
美和子はすぐに佐藤と付き合う様になった、この時佐藤はこれで彼女の家のお金をかなり得られると思い喜んだだけだった。
だがすぐにだった。
おずおずとして無口だが。
何かと気遣ってくれて心配りをしてくれてだった。
親切で優しい彼女の性格に触れて思った。
「かなりいい娘かもな」
「実家が金持ちだけでなくてか」
「ああ」
こう美和子のことを話してくれた友人に話した。
「あんな優しくて気遣いの出来る人俺はじめて会ったぞ」
「そこまでか」
「これまで色々な人と会ってきたけどな」
これまでの人生の中でというのだ。
「その中でもな」
「一番か」
「しかもデートの時弁当作ってきてくれてるけどな」
「美味いか」
「滅茶苦茶な、その時も美味しくなかったらすいませんでな」
「そう言うのか」
「その時も何時でも礼儀正しくて謙虚でな」
そうした性格でというのだ。
「話すことも誰がいい何かいいでな」
「褒めるだけか」
「悪口とか不平なんてな」
それこそというのだ。
「全くだよ」
「言わないか」
「あんないい娘二人といないぞ」
佐藤は言い切った。
「もうな」
「お前ひょっとして」
佐藤の言葉を聞いてだ、友人は言った。
「お家のことじゃなくて」
「何かもうそれ以上にな」
「性格がか」
「好きになってきたよ」
本気の言葉だった。
「そりゃ外見はあんなのでな」
「地味だな」
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