第二章
[8]前話
彼は今はモーグリと一緒に住みつつ生活費と旅の糧を稼いでいた、その中でロンドンに住むトラヴィス=ネルソン収まりの悪い赤髪に細面に青い目の彼とネットで知り合い今はオンラインで会話をしていた。
そこでだ、ネルソンはクラウカに話した。
「実は最近まで失業していたんだ」
「そうだったんだなあんた」
「こんなご時世だからね、折角カルフォルニアから移住したのに」
それでもとだ、ネルソンはクラウカに苦笑いで話した、
「それがだよ」
「失業して」
「落ち込んでいたよ、その時に」
「ニャア」
モニターに一匹の白いノルウェージャンフォレストキャットが出て来た、随分とネルソンに懐いている。
「シグリットが一緒だからね」
「奇麗な顔立ちをしてるな」
「美形だろ、雄でな」
「雌に見える位だな」
「そうだろ、こいつがいてくれて」
ネルソンはシグリットを抱きつつ応えた。
「日課の自転車の散歩をな、いつも一緒にいるから」
「それも一緒に行く様にしたんだな」
「自転車の前の籠に入れてな」
そうしてというのだ。
「そうしたらな、こいつ耳は聞こえないけれど」
「そうした子か」
「僕から離れなくて大人しくて」
「籠の中にいてもか」
「大丈夫だよ、散歩に出たら皆に人気で」
ネルソンは笑って話した。
「注目されていて一緒にいる僕もこいつが人気だと嬉しくて」
「元気になったんだな」
「失業して落ち込んでいたけれどね」
それがというのだ。
「励まされたよ、そしてそんな時に」
「次の仕事が見付かったんだな」
「そうだよ、シグリットのことで笑顔になったら」
その時にというのだ。
「僕は幸せになったよ」
「不思議だね、俺もモーグリと会って笑顔になって」
「それでか」
「旅が余計に楽しくなって」
それでというのだ。
「いつも笑顔になってるよ」
「僕もだよ、猫と一緒にいられたら」
「それだけで笑顔になって幸せになれるな」
「全くだよ、じゃあお互いにこれからも」
「猫とツーリングをしてな」
「幸せでいような」
クラウカはシグリットを抱き締めるネルソンに自分の膝の上に来たモーグリを撫でつつ話した、そうしてこれからの旅のことを考えていた。彼と一緒の旅のことを。
猫とツーリング 完
2022・6・25
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ