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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第69話 足踏みの原因 
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るようにも見えるファイフェル……

「嬢ちゃんは士官学校の受験を希望しているそうじゃな。まぁ今日は六月三日なんじゃが」
「はい、司令官閣下」
 右手を頭に当てながら立ち上がると、爺様は頷いて言った。
「合否に問題はなかろう。何しろ優秀な『家庭教師』が付くんじゃからな」
「は?」
「ジュニア。ハイネセンに戻るまででいい、余裕のある時に嬢ちゃんの勉強を手伝ってやれ。これは命令ではないが、そのくらいしても罰は当たらんぞ?」
「……承知いたしました」

 他の受験生と比べての贔屓とか不平等とかそう言うのはどうなんだろうとか思ったが、亜麻色の髪を持つ少年がイゼルローンの不良分子(最高の教師陣)によって鍛えられていたことを思い出して諦めた。まぁあの教師陣に比べれば、格が数段落ちるのは受け入れてもらうしかないが。

 直立不動で爺様に敬礼すると、爺様もそれに応える。だが俺の周辺視野にファイフェルが含み笑いを浮かべているのが入った。眼球だけ動かして俺がファイフェルを睨みつけると、得たりと言った表情でモンシャルマン参謀長が口を開いた。

「たしか当司令部に有能な若手士官は一人だけではないと思いましたが、司令官閣下」
「そうじゃな。ファイフェル。お前は週二で面倒を見ろ。どうやらジュニアは艦内で危険人物とみられているようじゃから、フォローするのは頼りになる年下の役目じゃろうて」

 あ、ということは司令部通信オペレーターさんが爺様に直訴でもしたんだなと、口がぱっくりと開いたファイフェルを見て、俺は溜息をつくのだった。





 翌日、移動中の独立部隊には通信で、残りの二つと第四四高速機動集団の二つの分艦隊の参謀達に、補給状況とアスターテへの戦闘哨戒の可能性を作戦素案に添え、二日後までに総評してくれるよう打診した。どの部隊の幕僚部も暇していたのか、あくまでも素案だと前置きしているのに散々赤ペンで採点した返信を寄越してきた。相手は参謀経歴のある人達だし、こちらは素人に毛が生えたくらいの参謀だから仕方ないなと思っていたが、総じて作戦根幹である『総入り』に関して明確に反対している人はいなかった。

「それは作戦の道理がボロディン少佐の言う通りだからだ。些か言動が過激で、粘着質なきらいはあるが」

 一番反対するであろうと考えていた第三四九独立機動部隊のフルマー中佐に、司令部間超光速通信で理由を聞くと、中佐は肩を竦めながらそう答えた。

「貴官は歳の割に慎重に過ぎるところがあるが、言っていることが一々尤もなので、言われる側としてはピリピリ来るんだよ。司令部にいるからわからんかもしれないが、特に年配の、それも退役に近い中級指揮官達の不満は大きいぞ。貴官はもう少し人の扱い方を覚えた方がいい」

 確かにフルマー中佐の言う通りだろ
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