第2部
スー
浅瀬の祠
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そのまま蓋を開けると、中には銀色の鍵が一つ入っていた。
「これが最後の鍵……」
いたって普通の鍵に見えるが、装飾部は人の目のような独特な形をしており、真ん中に大きな赤い宝石が一つ埋め込まれている。淡く輝く宝石は見れば見るほど底知れぬ魅力を放っており、不思議な雰囲気を醸し出していた。
「これでやっとオーブに一歩近づいたね!」
声を弾ませる私に対し、ユウリはどこか腑に落ちない顔をしている。
「何か、問題でもありました?」
ルカも気づいて尋ねるが、ユウリは小さく首を横に振る。
「いや、鍵はいいんだが、どうもこの辺りに俺たち以外の気配がするんだ」
「え!? だってここ、さっきまで海の底にあったんだよ!?」
「ああ、だから、人間以外の何かが……」
「わああああああ!!」
その言い回しに既視感を感じた私は、あわてて大声で叫びながら耳を塞いだ。
「どうしたんだよ、アネキ」
「そそそその展開、前も似たようなことがあったよね!?」
ユウリに尋ねときながら、しっかり自分の耳を塞ぐ私。もうこの時点で言葉と行動に矛盾が生じている。
「なんだ、気を遣って口に出さずにいたのに。そんなに知りたいのか」
「ごめんなさいやっぱりいいです!!」
そう。ユウリは第六感が冴えているのか、人間以外……とりわけ幽霊などの存在がわかるらしい。それにしても、彼と出会ってからどういうわけか幽霊と関わることが多くなっている気がするのはなぜだろう。
「あの扉の奥に何かいるな」
ユウリが指差すその先には、古びた扉があった。今にも壊れそうなほど傷んでいるように見えるが、彼が扉に手を掛けても、びくともしない。
ユウリは早速最後の鍵を使ってその扉を開けてみる。その間私はルカにすがり付きながら様子を伺っているが、私に拘束され身動きの取れないルカは心底嫌そうだ。
「鍵穴に応じて形が変わるのか。これならどんな鍵も開けられるな」
ユウリが感心したように呟くが、今の私はそれに同意するほどの余裕はない。
カチャリ、と控えめな音が鳴り響くと、静かに扉が開いた。小さな祠の奥にある部屋はさらに狭く、人一人入れるのが精一杯の広さだ。だが、問題はそこにいた存在だ。
「……っ!!」
その凄惨な光景に、私は声なき声を上げた。そこにいたのは椅子に座った骸骨だったからだ。それもただ座っているだけではない。肘掛けには骸骨の両腕が大きな太い釘でつなぎとめられており、両足首は鎖で繋がれている。骸骨の体のあちこちが意図的に損傷しており、それは生前何者かによって与えられたものだとわかった。
その光景に、私のみならず皆息を飲んだ。私にしがみつかれて鬱陶しそうだったルカも、この光景を見た瞬間逆に私にしがみついた。
「これは……罪人なのか?」
ユウリがぽつりと呟いた。けれどそれを知っ
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