霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の終
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――この戦いの後。ギルドから緊急派遣された医療班に救助され、クサンテやデンホルムをはじめとするハンター達は辛うじて一命を取り留めることが出来た。
アーギル達の救助活動と応急処置が功を奏してか、拠点に搬送されていたギルドの防衛要員達も、全員生還を果たしている。狩猟設備が全壊するほどの苛烈な戦闘だったというのに、奇跡的にも犠牲者が出ることなく、リュドラキアの砦を防衛することが出来たのだ。
ラオシャンロンの異常な暴走。特殊個体であるドスイーオスの出現。ミラボレアスの降臨。そして戦闘後に観測された、謎の紅い月と銀の翼。
老山龍に関するこれまでの記録と照らし合わせても、不可解な点が余りにも多く、原因の究明はギルドの力を以てしても困難を極めているが。少なくとも今はただ、死者を出すことなくラオシャンロンを退けたことを喜ぶ時なのだろう。
下位ハンターしか即応出来る戦力がいない状況だったというのに、1人の死者も出さずに老山龍を撃退せしめたのである。予想を遥かに上回るこの成果には、ドンドルマのギルドマスターも驚愕を隠し切れなかったらしい。
旧シュレイド城に出現した伝説の黒龍も、「伝説世代」を筆頭とする英傑達によって討ち取られたのだという。
現大陸の各地は今、黒龍の暴虐から世界を救った救世主達への賞賛の声に溢れているのだが――クサンテ達の活躍を知る者達は皆、次代の英傑達の将来へと思いを馳せていた。
やがて彼女達は一人前の上位ハンターとして正式に認められ、その輝かしい戦果は瞬く間にドンドルマ中に知れ渡ることになるのだった。
あの「伝説世代」の英雄達にも迫り得る、新たな逸材達が現れた。その逸話はやがて、「宝玉世代」という次なる神話の序章として語り継がれて行くことになる。
ただ、クサンテ達が上位ハンターとしての活動を開始したのは、ラオシャンロンとの死闘が終わってから約1ヶ月が過ぎた頃のことであった。並外れた回復力を持つ彼らでさえ、命の危機に瀕するほどの重傷から全快するまでには、そこまでの期間が必要だったのである。
怪我の治療、破壊された防具の更新、上位クエストに向けた武器の新調。それらを終えたところで、ようやく上位ハンターとしての新たなスタートを切れるようになったのだ。
「姫様、そのハイメタシリーズ……よくお似合いですぞ。オーダーレイピアの修理も無事に終わりましたし、いよいよ機は熟したようでありますな」
「えぇ……ここまで長かったわね、デンホルム。ついに……ついにこの時が来たのよ」
次の活動拠点となる村への出発。その新たなる旅立ちの日を迎えたクサンテとデンホルムは、ドンドルマから発つ竜車の前で剣呑な表情を浮かべていた。
見目麗しく気高い金髪の姫騎士と、その傍らに控えている巨
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