霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の十二
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うなことがあれば、今度こそ命はない。
「あうッ!? あ、あなた達……!」
「防衛要員達の救助は完了した! ここからは……俺達も混ぜて貰うぜッ!」
その窮地を救ったのは――防衛要員達の救助に当たっていた、アーギルをはじめとする他のハンター達であった。ラオシャンロンと渡り合える余力などないというのに、それでも彼らは渾身の力を振り絞って、吹っ飛ばされたクサンテ達を受け止めて見せたのである。
「クサンテ……!」
「えぇ、分かってるわ……! もう、今しかないってことくらいッ!」
彼らの手で激突を免れたクサンテ達は、すでに限界を超えている体をさらに酷使し、立ち上がって行く。
倒れ伏し、弱り始めている老山龍を打倒するための最後の攻撃。その好機は、今しか無いのだから。
「皆……この死地を超えた先に、上位という次の『高み』が待っているわ。絶対に昇格するわよ、全員でッ!」
防衛要員達を拠点に運んだ今なら、全員が攻撃に参加出来る。先ほどの総攻撃をさらに超えた戦力を、この好機に全て叩き込む。
そんなクサンテの大博打をとうに察していたハンター達は、姫騎士の合図を静かに待ち――
「……掛かれぇぇぇえーッ!」
――その怒号に突き動かされたかのように。一斉に走り出して行くのだった。
勝って。生き延びて。全員で昇格する。そんなおめでたい未来を、この手で勝ち取るために。彼らは血反吐と共に雄叫びを上げ、眼前の老山龍目掛けて最後の突撃を敢行する。
「あのイノシシ姫にばっかり良い格好はさせてられないわよ、クゥオ! ……テリル姉のような悲しい犠牲なんて、もう絶対に許さない! 生き残って見せるわ! 全員でッ!」
「はいッ! カノン兄様に会う日まで……私だって、負けるわけには行きませんッ! どんな相手だろうと、斬り払うまでッ!」
今は亡き、姉代わりの先人を想い。ヒドゥンサーベルを振るうロエーチェが、老山龍に向かって吼える。睡りを誘う貝剣斧Iによる属性解放突きを見舞うクゥオも、ラオシャンロンの巨躯に怯むことなく兄への愛を叫んでいた。
「結局最後は、己自身を武器に……ってかッ! リリア、ここまで来たらお前も腹を括りやがれッ!」
「……はいッ! 行きましょう、アーギルさんッ!」
ラオシャンロンの足元を狙うアーギルが、ダーティーバロンIでその爪先を滅多斬りにしている中。彼のサポートに徹しているリリアは、カムラの鉄笛IIでの演奏でその攻撃力を強化していた。
「我が師より継承の印――流れる刃流水の如しッ! 居合抜刀、気刃斬りッ!」
師匠譲りの技と、「練気」を活かした気刃斬りの剣舞。見る者を魅了するフィレットの太刀筋は、ラオシャンロンの外殻すらも斬り裂いていた。
腰だめに構えた狐
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