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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の十二
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―その一撃が炸裂する直前を狙い、噛み付いて来たのである。老山龍の牙に囚われたリルスはそのまま勢いよく振り回され、バンホーもろとも投げ飛ばされてしまうのだった。
 岩壁に叩き付けられたリルスとバンホーは、そのまま敢え無く地表に墜落してしまう。リルスの巨体が緩衝の役割を果たしたことで、バンホーは重傷を負いながらも一命は取り留めたのだが――リルスの方はダメージがより深刻なのか、そのまま気を失ってしまった。

「ぐ、ぅうッ……! や、野郎ッ……もうタダじゃおかねぇからなぁッ!」

 リオソウルシリーズの防具もすでに傷だらけとなっているが、それでもバンホーは己の傷や痛みに構うことなく、リルスを傷付けられたことへの怒りに燃えていた。フレイムスロワーを握り締める彼は、血みどろになりながらもラオシャンロンに向かって行く。

 一方のラオシャンロンも、リルスの爪や火球がかなり効いていたのか、苦しげな咆哮を上げていた。すでにこの戦いは、終局に向かおうとしていたのである。

「……ッ! リルスが作った絶好の勝機、逃すわけには行かないッ! 皆、行くぞォオッ!」

 城門を突き崩そうと立ち上がり、その巨大な体躯で全てを押し潰そうとするラオシャンロン。
 その懐に飛び込んだエレオノール達は、肉質が柔らかい腹部を集中的に狙い、残された力を振り絞っての総攻撃に掛かる。全ては仲間達と、リルスが作った好機に報いるために。

 回避も防御も度外視。ただ眼前の敵を打ち倒すことのみに全神経を注ぐ、無謀の極致。その愚直なまでに攻撃的な戦法が、下位という枠組みを超えた気迫と破壊力を齎していた。

 その迫力と、濁流の如く襲い掛かって来た激痛に怯み(・・)。圧倒的な巨躯で人類を翻弄してきたラオシャンロンは、下位(・・)ハンターの攻撃で後退りし始めている。

 生きて帰るため、多少なりとも己の命を顧みる。そんなハンターとしての基本さえ投げ捨てた、野獣の如き猛攻。
 理性を犠牲にして得たその威力が、下位ハンターでありながら老山龍を怯ませた――という、荒唐無稽な現象を引き寄せたのである。その勢いに乗るがまま、クサンテ達はさらに畳み掛けようとしていた。

「きゃあぁあぁああッ!」
「クサンテッ……ぐはぁあぁッ!」

 だが、この無謀な突撃は相応のダメージとなって、クサンテ達に襲い掛かって来る。立ち上がった状態で腹部を攻撃され、バランスを崩したラオシャンロンは――そのまま伏せるように倒れてしまったのだ。
 その動きを察知したクサンテ達は本能的に四方八方へと回避し、下敷きになることだけは免れたのだが。老山龍が倒れた際に発生した衝撃波までは避け切れず、全員そのまま吹き飛ばされてしまったのである。

 すでに満身創痍である彼女達が、その勢いで渓谷の岩壁に激突するよ
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