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モンスターハンター 〜故郷なきクルセイダー〜
霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の十
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ー達は軋む身体にさらなる無理を強いて、城門の最上部にある撃龍槍のスイッチに向かおうと、そこに繋がる梯子に手を掛ける。だが、ラオシャンロンの体当たりによる衝撃に揺さぶられてしまい、上手く梯子に掴まることが出来ない。

「や、ヤバいッ……! もう門が壊されちゃうわッ! このままじゃ、撃龍槍を使う前にッ……!」

 その間も、老山龍が齎す災害の如き衝撃により、城門に走る巨大な亀裂はますます広がっていた。動揺しているリリィベルの言葉通り、このままでは最後の希望である撃龍槍が使えないまま城門が破壊されてしまう。

 ――その時だった。

「……待たせたな、お前達ッ! 我々もこれより、この城門の防衛に当たるッ!」
「エレオノール……!? それに、皆っ……!」

 彼らよりもさらに重傷を負っている満身創痍のエレオノール達が、この城門に繋がる別の通路から飛び込んで来たのである。深手を負いながらもドスイーオスの討伐を果たした彼らは、休息を取る間も惜しんで急行して来たのだ。

「ちょっ、あんた達……! 砲撃の手を止めてまで、一体今まで何してたのよッ!?」
「弾薬庫を上位種のドスイーオスが塞いでやがったんだよッ! おかげで砲弾の供給が追い付かなくてこのザマだ……! ここまで攻め込まれちまったからには、この最終防衛線だけでも守り抜くしかねぇってこったッ!」

 その先陣を切るアーギルは全身を襲い続ける痛みにも構わず、悲鳴を上げる足にさらに鞭打ち、城門の最上部へとよじ登って行く。老山龍の体当たりによる激震に何度揺さぶられても、その手は決して離れない。

「いい加減に……くたばりやがれぇえぇッ!」

 そして――今度こそ眼前の城壁を打ち砕いてやろうと、ラオシャンロンが大きく巨躯をくねらせた瞬間。
 ついに最上部へと辿り着いたアーギルが、ピッケルを振りかぶり撃龍槍のスイッチを渾身の力で叩く。

 刹那。城門の側にある「穴」から、4本もの巨大な槍が飛び出し――迫り来るラオシャンロンの全身に突き刺さるのだった。
 己の巨体に勢いを乗せた、老山龍の体当たりを迎え撃つかのように。この戦いに参加した全てのハンター達の希望を背負う、その槍の一閃が決まった瞬間。

「やったか!?」

 狩人達は険しい表情で声を上げ、その拳を震わせる。心の奥底では、理解していたからだ。

 ――まだ、終わりではないのだと。

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