霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の二
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老山龍の侵攻を阻止するべく火を噴いた、無数の大砲。その砲口から放たれた砲弾は1発たりとも外れることなく巨龍の全身に命中し、霧の中からも良く見えるほどの爆炎を上げていた。
だが、その猛攻を浴びてもなお老山龍の勢いは全く衰えていない。悲鳴にも似た咆哮を上げながらも、70mにも及ぶ巨大な龍はそのまま砦の最奥を目指して前進し続けている。
それでも、攻撃が全く通じていないわけではない。その証拠に老山龍の頭部にある巨大な一角には、大きな亀裂が走っている。
決してクサンテ達を見捨てまいと準備を急ぎ続けてきた彼らの奔走が、功を奏しているのだ。砲撃は間違いなく、効いている。
「あのイノシシ姫、無茶ばっかりしてるんじゃないわよッ……! 私の目の前で誰かが犠牲になるなんて……そんなの、絶対に許さないんだからッ……!」
ギザミシリーズの防具を纏い、ヒドゥンサーベルを背負っている女性ハンターことロエーチェも、その1人だった。
「伝説世代」の1人としてその名を馳せているG級ハンターのビオと――今は亡き彼の同期・テリル。
2人と同じ村で生まれ育ったロエーチェは、同性かつ一足早くハンターになったテリルに憧れ、彼女と同じ太刀使いを志した……の、だが。そのテリルは6年前、「恐暴竜」ことイビルジョーとの戦いで命を落としてしまったのだ。
彼女の死はビオを修羅に変え、ロエーチェの心にも深い影を落とした。それでも彼女は、「二つ名」のモンスターを全て狩猟するという目標を胸に、前を向こうとしている。
イビルジョーとの遭遇さえなければ、テリルならきっと今頃、ビオにも負けないハンターになれていたはず。だからこそ自分が彼女の分まで、その域に至らねばならない。
その強い想いが今は、彼女を上位昇格へと駆り立てている。そしてそんな過去を背負って来た彼女だからこそ、自分と共に戦って来た仲間を決して死なせまいとしているのだ。
テリルを失ったこと。テリルの死を受けて、ビオが変わってしまったこと。その二つの悲しみを目の当たりにしてきた彼女は、運ばれて来た砲弾を矢継ぎ早に大砲に積み込み、点火を繰り返している。
もうこれ以上、自分の大切な仲間を死なせるわけにはいかない。あんな悲しみを、繰り返させるわけには行かない。その執念が成せる鬼気迫る覇気が、彼女の前身に漲っているようだった。
「……ロエーチェさん、次の砲弾です! 使ってくださいッ!」
「ありがとう、クゥオ!」
そんな彼女の横顔を見遣りながら、ずっしりとした砲弾を抱えて来たクゥオ・アルグリーズは、共に上位を目指して来た仲間にその砲弾を託していた。
睡りを誘う貝剣斧Iを背負っている彼女は、ロエーチェの同期であり――「伝説世代」の1人であるカノン・アルグリーズ
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