霊峰編 決戦巨龍大渓谷リュドラキア 其の一
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だけのラオシャンロンを前に、窮地に陥ってしまっている。2人への敵意すら持たないまま悠然と歩みを進める老山龍の「足踏み」は、クサンテ達を襲う災害を生み出しているのだ。
「……だとしても、ここで奴を倒せなければ私達は上位には昇格出来ないッ! そして上位に昇格出来なければ……私達は、あのドスファンゴと戦う資格すら得られないッ!」
ラオシャンロンの前進により発生する地震。その振動によって渓谷から崩れ落ちてくる落石をかわしながら、クサンテはオーダーレイピアを交差させ、「鬼人」の如き深紅の殺気を纏っていた。
「だから……退くわけには行かないのよッ! 私達は……アダルバート様の無念を晴らすためにここに来たのだからッ!」
「姫様ァッ!」
愛する婚約者を奪った憎き仇敵、上位ドスファンゴ。その大猪に挑む資格を得るためにも、自分は一刻も早く上位に認められなければならない。
そんな焦燥感に駆られている彼女は、デンホルムの制止にも耳を貸さずにラオシャンロンの頭部目掛けて跳び上がってしまう。アロイシリーズに隠された白い爆乳と巨尻が、その反動でぷるんっと弾んでいた。
その勢いに身を委ね、振るわれた2本の剣。そのオーダーレイピアの刃は――老山龍の外殻の奥へと、深く沈み込んで行く。外殻の間にある僅かな隙間に刺し込まれた切っ先が、ついにラオシャンロンの肉に届いたのだ。
(やった……! ついに私の剣が古龍に届いたッ! よぉし、このまま斬り裂いてッ……!?)
――だが。クサンテがその確かな手応えに、頬を緩めた瞬間。
オーダーレイピアの輝かしい刀身は、まるで小枝のように容易くへし折られてしまうのだった。
「そん、な、ぁッ……!?」
ただ身動ぎするだけで強力な攻撃となる老山龍の肉に、双剣の細い刃を深く突き入れてしまえば。例えラオシャンロン自身に反撃の意図が無くとも、ほんの僅かに動くだけで、その刃は無惨な結末を迎えてしまうのである。
使い手が己の力量を正しく理解していれば、こうはならなかっただろう。だが、愛用の剣を折られ絶望の表情を浮かべてしまった今の彼女では、冷静に自分の失敗を顧みることも難しい。
「……きゃあぁあぁあッ!」
そのまま何事もなかったかのように動き出していく老山龍に撥ねられた未熟な姫騎士は、後方に勢いよく吹き飛ばされてしまう。
そんな彼女が向かう先には、渓谷の岩肌が待ち受けていた。いかに堅牢なアロイシリーズの防具といえども、この速度で岩肌に激突すればタダでは済まない。
「姫様ッ……ぐぉおぉおぉッ!」
「……!? デンホルムッ!」
その窮地を前に咄嗟に飛び出したデンホルムは、クサンテの後方に立ち彼女を受け止めて見せた。だが、圧倒的な体躯を誇る巨漢の膂力を以てしても勢
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