第二章
[8]前話
「たまたまここの店長さんにとんでもない高額でスカウトされてね」
「ここにいるんだ」
「大学を辞めてね」
「そうなんだ」
「いいお仕事よ。ただ合間に研究して論文は書いているから」
学者らしくというのだ。
「また大学に戻る考えはあるわ」
「将来はなんだ」
「ええ、けれどこのお仕事には誇りがあるし」
それにというのだ。
「楽しいわよ」
「そうなんだ」
「ええ、素敵なお仕事よ」
女性そのものの仕草でかつ流暢な日本語でだった。
マリアンヌは話して気持ちのいい接客をした、杉田は彼女のお陰もあって山本と共に楽しい時間を過ごせた。
それで勘定を払って店を出た後にだった、彼は山本に話した。
「ああしたお兄さんも色々な人がいるんですね」
「そや、中にはや」
「マリアンヌさんみたいな人もおられますね」
「そや、人間学歴が全てで学歴のあるモンと結婚せいとか言う親もおるやろ」
「その人を見ないで」
「それでもや」
それがというのだ。
「マリアンヌちゃん結婚相手に連れて来てそんな親が頷くか」
「頷かないですね」
「マサチューセッツ工科大卒で工学博士でな」
「高収入ですね」
「しかも身長一九〇近い」
「おまけに美形ですね」
「それでも頷かんやろ」
そうした親はというのだ。
「絶対に」
「学歴学歴言うても」
「そや、学歴なんてそんなもんや」
「何でもないものですね」
「かく言うわしもお前もどうってことない大学やろ」
「出てることは出てますが」
「そんなもんや、大事なんは実際の頭の出来とな」
それにというのだ。
「ハートや、それがないとや」
「仕事は出来ませんね」
「そういうことや、ほなまた明日な」
「頑張りますね」
「そうしてくで」
山本は杉田に笑って言った、そうしてそれぞれの帰路についた。
杉田はこの時から何度か山本に連れられて店に行ってマリアンヌと会った、マリアンヌは実に博識で頭の回転がよかった。それで彼はこうしたお兄さんも色々もっと言えば人間もそうであり学歴についてもわかったのだった。そのうえでそうした店で楽しむのだった。
高学歴ミスターレディ 完
2022・6・22
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