第十一部
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4月になって、大学は休講が続いて、お店に買いに来てくれる人もチラホラで、割と暇な毎日だった。だけど、すみれさんところに卸している分は好調で、朝の9時からすみれさんと奈々ちゃんが対応していてくれたのだけど、すみれさんは10時に積み込みを終えると気を利かせて、帰って行っていた。そして、奈々ちゃんも2時過ぎには帰って行っていた。そのあとは、私一人で対応していた。すみれさんとこが何とか買い取ってくれているものの、このままでは続かないんじゃぁないかと、私は、思っていたのだけど、お姉ちゃんは「大丈夫 今は 我慢よ」と、気丈だったのだ。
そんな中でも、あのグリーンサラダの人が来てくれて
「学生がいないから、大変なんでしょ あのね 私 事務所の人とかに声をかけたから 火曜と金曜 5つずつ用意しておいてちょうだい ここに組み合わせ メモしておいたから このとおりにね 12時すぎに 女の子が取りに来るから」
「えー ありがとうございます こんなにしてもらって うれしいー」
「いいのよ おいしいんだからー 私も食べれなくなると困るのよー 頑張ってね」と、いつものグリーンサラダを抱えて帰って行った。私、涙を拭いていたら、奈々ちゃんが
「すごーい ファンなんですね あの人大学の先生なんかしら」と、
そーいえば、私はあの人が何者なのかも知らなかったのだ。すごく、上品な人。
そして、3時過ぎに巧が顔を出してくれて、私、一人っきりだったから、手を握って
「ありがとう 来てくれて バイトなんでしょ」
「ウン その前に何か腹にいれておこうと思ってな それに、香波の顔見たかったから」
「巧 うれしいこと言ってくれるやんかー じゃぁ 愛情込めたんつくるね」と、私は、嬉しくて、キスをするふりをしていた。
「お客 少ないんだろう やっていけるのかー」
「うーん 苦しい でもね いつも買ってくれる人が来てくれるしね がんばらなきゃー あのね さっきも いつもの人が来て、事務所の人たちの注文を取ってくれたんだー 40代後半位かなー 上品な女性の人 前からのお客様 大学の先生かしら?」
「ふーん 誰のことかなー もう、僕は、研究室にしか顔を出さないからなー でも、香波のファンなんだよ きっと」
「ちがうわよ 私なんかじゃあなくて、ハニーエンジェルのよ」
巧が帰る前、私は巧の手を取って店の奥に連れて行って、抱き着いてチュッとしていった。
「うふっ お店でこんなことしていたら お姉ちゃんに叱られるかもね でもね、あの日から、何にもしてないんだものー」
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