第二章
[8]前話
「そんな風よ、夜寝てたら急にお腹の上にどすんと来ることあるし」
「それは大変ね」
「こらって怒ったら跳んで逃げるし」
「悪いこともするのね」
「悪戯もね。もう毎日大変よ」
「大人しそうに見えても」
「全然よ。寝ている時以外はね」
それこそという口調での言葉だった。
「やんちゃよ」
「そんな娘なのね」
「ええ、猫は言うこと全然聞かないって言うけれど」
家の窓から外を見ているミクを見つつ話した。
「本当ね」
「うちは金魚だからわからないけれど」
「猫はそうよ、けれどね」
ここでだ、美咲は。
笑ってだ、紅茶を飲みながら話した。
「それがいいのよ」
「我儘で言うこと聞かないのが」
「そう、退屈しないし」
一緒にいてというのだ。
「そこが可愛いのよ」
「我儘で言うこと聞かないことが」
「悪さをするところがね。見ているとね」
猫をというのだ。
「それだけでよ」
「いいのね」
「うちに来てくれてよかったわ、だからずっとね」
「これからもなのね」
「一緒よ。お父さんとお母さんなんてね」
自分の両親はというと。
「もう毎日ね」
「あの娘にかかりきり?」
「そうなの。家の話題も大半ミクになったし」
「もう完全に入れ上げてるわね」
「そうなっているわ、うちに来てくれて本当によかったわ」
美咲は満面の笑みで話した、そしてだった。
自分達のところに来たミクにだ、笑顔で声をかけた。
「何?遊んで欲しいの?」
「ニャンニャン」
美咲のズボンの袖を噛んでからだった、ミクは。
床の上にごろんと寝転がって腹を見せてきた。美咲がその腹を摩るとだった。
猫は喉を鳴らした、すると美咲だけでなく好美も笑顔になった。そして。
美咲の一家はミクと末永く暮らした、その間ずっと彼女のことを笑顔で話した。我儘で言うことを聞かない彼女のことをそうしたのだった。
猫は言うことを聞かない 完
2022・6・21
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