第一章
[2]次話
怖いラーメン屋の親父は
高校に入ったが部活をするつもりはなかった、それで校則をチェックするとアルバイトは許可が出たら出来た。
それで岩村夏輝は高校に入ってすぐにアルバイトをはじめることにした、そのバイト先はというと。
「おい、高速沿いのか」
「あのお店なのね」
「ああ、八条ラーメンだよ」
夏輝は家で両親に話した、茶色にした髪を真ん中で分け細面で吊り目である。やや色黒で眉は濃く細長く薄い赤の細い唇である。背は一七三位で痩せている。
「あそこでバイトするよ」
「学校帰りに通えるからか」
「うちからも近いし」
「バイト代はそこそこだけれどな」
それでもとだ、夏輝は両親に話した。
「部活なんてする気ないしな」
「だったらバイトしてか」
「お金稼ぐのね」
「何もしないよりいいだろ」
夏輝はこうも言った。
「だから行って来るな」
「アルバイト自体はいいがな」
「学校からも許可得たしね」
両親はこのこと自体はよしとした。
だがそれでもだ、どうかという顔でこうも言うのだった。
「けれどあのお店って」
「店長の人がな」
「評判悪いから」
「どうもな」
「それ俺も聞いたけれどな、この前店長さんが代わって」
八条ラーメンは全国に展開しているチェーン店なので店長も交代するのだ、働いている人達は社員なのだ。
「滅茶苦茶怖いってな」
「大丈夫か？働いてすぐに辞めるとかな」
「そういうのはよくないわよ」
「殴ったり蹴ったりする人じゃないといいだろ、とりあえず行って来るな」
他にすることもないからだ、それでだった。
夏輝はそのラーメン屋にバイトの店員として入った、初日に店長と会ったが。
店長の玄田勝家は一九〇以上ある筋骨隆々の巨体で店の制服とエプロンの上からでも逞しい身体がわかる。
顔は岩の様であり小さな目からは鋭い光が放たれている、素手で人を殺せると言われても納得する位である。
その外見に流石に夏輝も驚いたが。
玄田はアメリカのアクション俳優の吹き替えの様な声でこう言った。
「よろしくね、岩村君」
「あっ、はい」
「無理をしないで頑張ってね」
玄田は優しい口調だった、そしてだった。
アルバイトをはじめた彼にどんなことでも丁寧に教え。
しかも何度もそうしてだ、口調や態度は決して荒くなくなり。
何かと気遣いの言葉もかけてくれた、そして賄いもだった。
いつも彼にも他の店員達にも丁寧に作った、それでだった。
夏輝は先輩の店員に学校帰りに働きながら言った。
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