第二章
[8]前話
「おトイレに行っていました」
「ああ、それ」
「おトイレだったんだ」
「それに行ってたんだ」
「はい」
そうだというのだ。
「急にきまして」
「ああ、あるよね」
「急にトイレに行きたくなるって」
「誰にでもね」
「それはあるわね」
「そうなりまして」
そしてというのだ。
「取り乱してしまいました、すいません」
「いや、悪くないよ」
「そうしたこと誰でもあるしね」
「トイレに行くななんて言わないよ」
「そんなこと言う方がおかしいわよ」
「だからいいよ」
「そうですか、ではお仕事を続けます」
神楽はそれではと頷いてだった。
そうして仕事をしていった、だが周りは思った。
「若月さんも人間だしな」
「トイレに行くか」
「それで急に来る時があるか」
「いつものクールな若月さんもな」
「急にトイレに行きたくなると焦るか」
「幾ら普段クールでも」
「ああした時は慌てるんだな」
周りはそんなところに人間性を見た、そうしてだった。
神楽を以前よりも好きになった、だが。
神楽はこう言うのだった。
「急におトイレに行きたくなったりすることは嫌ですね」
「うん、そうだよね」
「歩いていて急にとかあるよね」
「お家でもね」
「そうした時トイレが近くにないと」
「あんな怖いことはないわね」
「私はそれが一番怖いです」
いつものクールな顔で言うのだった。
「地震や台風も怖いですが」
「災害も怖いけれどね」
「確かにそうよね」
「けれど急にトイレに行きたくなると」
「それも怖いね」
「そうだよね」
こう話した、そしてだった。
他の面々も思った、急にトイレに行きたくなることは確かに怖いと。神楽が言うのももっともだと思ったのだった。
急な下痢程怖いものはない 完
2022・6・18
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