怪鳥の脅威
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狂三が語る、バッタの異形。
その名も。
「アナザーアギト」
アナザーアギト。
静かに。だが確かにはっきりと。
力を感じさせる歩みで、バッタの異形、アナザーアギトは怪鳥に近づいていく。
「ギャオ、ギャオ」と嘶いた怪鳥は、出現した新たな脅威としてアナザーアギトを認識したのだろう。滑空してくる怪鳥に対し、アナザーアギトは上段蹴りで突き落とす。
静かに構えをしながら、アナザーアギトは再び立ち上がる怪鳥を睨む。
怪鳥は数回の嘶きとともに、アナザーアギトへ滑空してきた。
アナザーアギトは腰を落とし、怪鳥の頸と胴体を掴む。そのまま投げ飛ばすと、怪鳥は自らの制御以上の速度に対応できず、そのまま瓦礫の山に激突した。
「す、すごい……」
その技量の高さに、ハルトは言葉を失う。
アナザーアギトは一瞬だけハルトを一瞥して、すぐさま怪鳥との戦闘に乗り出す。
怪鳥はすぐさま瓦礫から抜け出し、アナザーアギトを睨む。恨めしそうに吠え、その口にはまた空気の振動が生じていった。
遠距離戦法に切り替えたのか。
そんなハルトの推測を正しいと証明するように、怪鳥の口から黄色の光線が放たれていく。
空気の振動である音が刃となったそれは、武器を一切持たないアナザーアギトへ一方的な攻撃となる。
援護しようとするが、まだ足の痛みが引いていない。
ハルトはハンカチで急ごしらえの包帯を作り、出血箇所を結んで止血する。
だが、ハルトが真に注目すべきは、アナザーアギトの回避能力だった。
アナザーアギトは左右に転じ、遠距離からの怪鳥の攻撃を無力化していたのだ。
さらに、転がったのと同時に、いつの間にかその手には鎖が握られていた。
地面から拾った人類の発明品を頭上で回転させ、怪鳥へ放る。
真っすぐに怪鳥の頸に巻き付いた鎖。
悲鳴を上げた怪鳥は、そのまま鎖に引かれ、一気にアナザーアギトへ引き寄せられていく
そして、その怪鳥に合わせ、アナザーアギトは右腕を引き込んだ。
「とうっ!」
放たれる、緑のパンチ。
その実際は、ただのパンチ。それだけのはずなのに、的確に怪鳥の胸元を命中させ、大きく殴り飛ばした。
カエルが潰されたような悲鳴を上げた怪鳥は地面を転がる。
「……すぅうううう……」
アナザーアギトは深く息を吐き、再び右腕を突き立てる。
立ち上った怪鳥。その口は空気を震わし、再び超音波メスを吐き出そうとしている。
それに対し、アナザーアギトの口元が動く。
口を覆うクラッシャーが引き、彼の全身にエネルギーが行き渡った。
すると、その足元にも変化が訪れる。足元に浮かび上がる、緑の紋章。アナザーアギトが構えを続けていくごとに、それは彼の右足に
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