第二章
[8]前話 [2]次話
兎角彼は勉強ばかりしていた、だがその彼にだ。
クラスメイトの秋山梨子黒髪をショートにしていてはっきりした顔立ちと一六四程の背でメリハリの利いたスタイルの彼女が言ってきた、黒の詰襟姿の幸一とは違い上下共に青のブレザーとミニスカートで白いブラウスと赤いネクタイの制服だがその制服からもスタイルのよさがはっきりとわかる。
「私の名前秋山でしょ」
「ソフトバンクの元監督さんと同じ苗字だな」
「あんた鷹党?私燕だけれど」
「虎だよ、将来阪神に入社して阪神を最強のチームにするんだ」
「フロントからなのね」
「だから勉強してオックスフォードに入るんだ」
今も参考書を読みつつ自分の席に座って勉強している、そのうえで実にあっさりと将来の夢を進路まで含めて話した。
「悪いか」
「だからいつも勉強してるの」
「ガリ勉なんだよ」
幸一は自分から言った。
「勉強してだよ」
「阪神の球団のフロントに入るのね」
「フロントが強いとチームも強いだろ」
「そうよね、ただね」
梨子は幸一にあらためて言った。
「私の名前秋山って今言ったわね」
「今メジャーにいる人と名字同じだな」
「それさっきと同じ展開じゃない、秋山さんって言っても色々じゃない」
「秋山好古さんとかか」
「弟さんよ、そのね」
「あの海軍の人か」
「参謀だったね、あの人もトップだったけれど」
海軍兵学校においてだ、戦前海軍兵学校は東京帝国大学よりもレベルが上であるとされた。
「別にね」
「僕みたいに勉強していなかったんだな」
「知ってるの」
「十年位前からの過去問集めてそれを覚えていたんだな」
「そうだったらしいわ、それであんたみたいにいつも勉強はね」
「していなかったな」
「そうみたいよ、だからあんたもね」
幸一もというのだ。
「そこまでしなくていいでしょ」
「僕は僕だ、あの人みたいに器用じゃない」
幸一は参考書を読み続けながら答えた。
「だから勉強してだ」
「オックスフォードなの?」
「あの大学に入るんだ、まずは」
「東大じゃないの」
「阪神のオーナーで東大法学部の人がいたんだ」
「そうだったの」
「それで優勝出来なかった、だから世界的な大学に行って」
そうしてというのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ