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銀河を漂うタンザナイト
アスターテ星域会戦B
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て旗艦ペルガモンのメインスクリーンに閃光が走り、その直後大きな爆発音が響いた。

「な、何事だ!?」

ムーアは慌てて叫んだ。

「敵襲!!4時半方向から敵艦隊が発砲してきました。現在我が艦隊は敵の攻撃を受けています!!」
「何だと、何故敵がそこにいるんだ!」
「分かりません、とにかく今は迎撃に専念を」
「ちぃ、分かっているわ!!」

ムーアは舌打ちをして、艦隊に指示を出した。

「各艦戦闘配置、急げ!!」
「敵艦隊発砲!!」
「回避せよ!!」

ムーアの命令と同時に、第6艦隊の各艦が一斉に回避運動を取る。

「敵艦隊、尚も砲撃を続行しています」
「反撃だ、主砲発射用意!!」
「了解しました」
「全艦反転せよ!!敵艦隊に対しこれより応戦する!」
「了解、全艦転進。目標、正面の艦隊」
「な、お待ちさい閣下。反転させてはいけません、それではより混乱が生じるだけです。このまま時計回りに進路を転進し、全艦前進して敵の荒廃をつくべきです!!」
「それでは敵の攻撃を受ける時間が長すぎる、全艦反転!!」
「ですが…」
「黙っていろ!」

ラップ少佐の理にかなった進言はムーアからの拒絶を持って回答された。ムーアの指示により第6艦隊は旗艦ペルガモンを筆頭に陣形を崩しながらも次々と反転をしていく。しかし応戦しつつ反転を開始するのは容易なことではなかった。そして、その時を待っていたかのように、帝国艦隊が射撃を開始した。

「敵艦隊より再び発砲!!」
「なっ、くそぉ」
「回避行動が間に合いません!被弾、左舷第3砲塔大破。被害状況は不明です」
「ぐぬぅ、面舵一杯、回頭終了後、応戦。シールド出力最大、急げ!!」

ムーアは苦虫を噛み潰したような顔で、そう怒鳴る。

「了解」
「くそ、こんな所で……」

ムーアは歯ぎしりをしながら、メインスクリーンを見つめた。

「敵艦隊、我が艦隊の包囲殲滅を企図している模様。この動きは明らかにこちらの動きを読んでのものと思われます」
「何だと、小癪な真似をぉ…」

ムーアは悔しさを滲ませながら、吐き捨てるように言った。

「敵艦隊、我が艦隊の退路を完全に断とうと動いています」
「く、何とか脱出せねば……」
「敵艦隊の発砲頻度が上がってきています。このままでは……」
「敵艦隊の攻撃集中、艦隊損耗率7割を突破。これ以上の戦闘継続は不可能です」
「まだだ、まだ終わらんぞ……」

ムーアは諦めずに命令を発し続ける。

「敵艦隊、我が艦の退路を完全に遮断」
「ちくしょう……、奴らは俺達を生かして帰さないつもりだ……」

ムーアはそう言って唇を強く噛む。

「提督、敵艦隊に包囲されました。我が艦隊は既に完全に取り囲まれております」
「……」

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