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銀河を漂うタンザナイト
アスターテ星域会戦B
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「それもそうかもしれない、だが第4艦隊は半数近くの艦艇を失っていて残存艦艇も半分が損傷してる、戦力になるのは半分の半分、つまり約2000隻前後だろうな」
「え、そんなにですか!」

アッテンボローは驚きの声を上げた。

「それじゃ一万五千足す二千で一万七千、あと一歩ってところですね」
「まぁ、そういうことさ。第6艦隊も合流してくれたらほぼ互角に戦えるのだけれどね」
「無理でしょうねぇ……」

アッテンボローは溜息をつくように言った。

「だって、第6艦隊の司令官と言えばあのムーア中将ですし…」
「あぁ、正直言ってあまり期待はできないな」

友人で第6艦隊に配属されたジャン・ロベール・ラップ少佐曰く

『経験はそれなりにあるが、柔軟さはなく頑固で豪胆で粗野な性格の持ち主で、部下の進言は聞き入れず、意見よりも服従を求めるタイプの軍人』

との事だった。

「しかし、第4艦隊の指揮官を代理とはいえクロパチェクが務めていたのは意外だったな」

クロパチェクは士官学校時代のヤンの同期で同期生の中では主席であったマルコム・ワイドボーンと並ぶ秀才として知られていた。性格は基本的に毒舌家で冗談を解せず、常に冷静沈着で生真面目だった。また人付き合いが苦手で誰彼構わず淡々とした無愛想な態度をとる事が多く、気難しく他人との交流を好まない傾向があった。そのため周囲からは敬遠されがちであったが、一方で能力に関しては非常に優秀で、緻密さと堅実さ、柔軟性を持ち合わせており

『何をやらせても一流にこなせる』

ともっぱらの評判だった。
当時の士官学校校長で現在の自由惑星同盟軍の制服組トップである統合作戦本部長シドニー・シトレ元帥からは将来有望な士官としてヤン同様に目をかけられていた。

「確かに、あいつは士官学校時代も成績は良かったし、指揮官としても有能なんだが、人付き合いが下手でね、空気を読まずに冷静に淡々と正論を吐くものだから周囲と衝突する事もよくあったし、上官受けも悪かったよ。友人も私やラップぐらいしかいなかったんだ」

最も私の場合は知り合ったのはラップつながりでだけれどね、とヤンは付け加えた。

「でも、何でクロパチェク先輩が第4艦隊の指揮をとったんですかね?やっぱりパノフ准将が重傷を負ったからでしょうか?」
「おそらくはそうなのだろう。パノフ准将が指揮をとれない以上、誰かが代わりを務めなければならない。その点、クロパチェクは性格はともかく優秀だからね。あれくらいの規模の艦隊なら十分に指揮官としてやっていけるはずだよ」
「ふーん、でもクロパチェク先輩って結構きつい性格でしたよね」
「うん、そうかもしれない。だが彼は士官学校時代に何度か私の相談に乗ってくれた事もあるし、付き合ってみると意外と良い奴だよ」

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